2014年5月 8日 木曜日

笠森観音

 楽しい時間が過ぎるのは早いもので、ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいました。
皆様いかが過ごされましたか?
 私は、せっかく千葉に引っ越してきたので千葉観光をしたいと思い調べておいた観光スポットに、ここぞとばかりに行ってきました。
 そんな中でも特に印象深かったのは、千葉県市原市にある笠森観音です。




 これは駐車場から観音堂までの道中です。
笠森観音周辺の自然林は、スダジイを主体とした暖帯林の残存林で天然記念物として保護されており、林床には特にシダ植物が豊富で、シダ植物覆われた法面や切り立った土壁にコケが生していたり、静かでしっとりとした雰囲気に癒されます。
ときおり山の中に響く鐘の音が、なんともいえず心に染み入るようでした。



 森を抜けると観音堂のお目見えです。
この観音堂は、国の重要文化財で日本で唯一の四方懸造(しほうかけづくり)という建築様式で作られており、今から約1000年前、平安時代後期に建立されその後焼失し、現在の建物は1592年-1595年の再建とされているそうです。



 懸造というのは、写真のように傾斜地や段状の敷地に柱を立て、張り出して建てる建築様式です。有名なものだと清水寺の舞台がありますね。
 つまり四方懸造というのは、四方が懸造なので山に覆いかぶさるように建物が立っているということです。
すごいですよね。
 天台宗の開祖である最澄が、楠の霊木で十一面観音を刻み山頂に安置したことが笠森観音の始まりと言われているそうで、きっと山頂から観音を移動させると意味を成さなくなってしまうので頂上に作らざるを得なかったんでしょうが、そこにお堂を作ってしまう技術と発想には感心させられます。

 


 ここを訪れるまで知らなかったのですが、これは観音堂の手前の展示室にある天台宗の有名な高僧である荒 了寛(あら りょうかん)さんの絵説法です。
 この他にも心にしみるたくさんのいい言葉があり、ほぼ全部写真に撮りました。笑
今回この言葉を載せたのは、高田造園で仕事をする中で物を生かすということの大切さを感じることがよくあるからです。


 

 これは、現在着工している常総市の現場です。
この石臼の古材は写真では分かりませんが、実はヒビが入ってしまっています。しかし、そのヒビがあることで雨水が貯まらず、臼の下に作った暗渠(あんきょ)に排水されます。
ヒビが入っているからこそこの石臼はこの場所に生かされたのです。

 また、手箒ひとつとっても、新しい穂先の柔らかい手箒にはやわらかい手箒の使い方、使い古された穂先の硬い悪い手箒には悪い手箒の使い方があります。道具も使いよう、どう生かすかですね。
どんな物もただ使うのではなく、工夫をし生かさなければならないと改めて気づかされました。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所