松下

2019年3月31日 日曜日

土気山での休日時間。

東京では観測地点で桜が早くも満開となり、
近くでは鶯も鳴き始め、春の気配が感じられ出した今日この頃。
皆様はどうお過ごしでしょうか。



先日土気山ダーチャフィールドでは、皆様をお招きして
恒例行事となりました味噌仕込みを行いました。

今年は例年にも増して大豆20キロ分の味噌を仕込み、
すべてを杉樽にて仕込みを行いました。

昨年の仕込みは岩富ダーチャにて、
木桶とプラ樽の2通りで行いましたが、
やはり天然素材である木の通気や、
長年住み着いている菌の作用による違いなのでしょうか、
プラ樽で仕込んだ方は若干の酸っぱさを感じ、
同時期同じ場所で保管していたにも関わらず、
杉樽の方は酸っぱさなどはなく、
出汁なしでも味噌汁が美味しくいただける
お味噌に仕上がっていました。

そこで今回はプラ樽は使用せずすべてを杉樽で行いました。

イベントには多くの方にお集まりいただき、
久しぶりに行われた土気山のイベントも
暖かく和気あいあいとした雰囲気に包まれました。



今回はいつもにも増して多くの大豆を煮込んだり、
お昼のお米を炊き込んだり、
さらには料理の支度にも火が必要なため、
あらゆる場所で竈がフル稼働という状態で
進められていきました。

スタッフとしてご参加いただいた女性の方々にも
ご尽力いただき手際よく準備が進みました。


そして、今回はもう一つ、
長年愛されてきた茅葺きのバイオトイレが
建て替えられるという運びとなり、
使いやすさの面を考慮して
パブリックスペースから少し離れた奥へ
移設されることとなりました。



新設される場所は以前親方が小屋を立てようと
斜面際に石積みを行った場所であり、
石積みにより段差が維持され
高低差が生じた状態で長年維持され、
段丘状になっていることから、
そこの土地の土中環境としては水や空気が動いていて
素掘り穴のトイレの場所としても以前の場所よりも
微生物が活発に働きやすい場所と言えます。




茅が皆様の手によってはらりと剥ぎ取られ、
トイレは骨格だけとなりました。



私はこのトイレが出来た当初はまだおりませんでしたので
改めて見ますとこんな感じになっていたのかと
剪定した枝も使い方次第で活きてくるものだと実感させられます。

このあと解体された茅は畑をマルチングする材料として、
太枝は分解して施工時でもよく行われる枝葉のしがら組へと
使われていきます。

その場で役目を終えても自然材料であれば
造園の仕事においてはいくらでも使い回すことができ、
最後には土に、地球に還っていく。

地球上で私たちが生活の中で使っていくものは
できる限りこのように使い回し利用、循環させていくのが理想で、
先人たちが今までやってこられたことです。

科学技術の発展で便利なものは今の時代に溢れていますが、
プラスチックが世界各国で溢れて汚染されている状況で、
私たちがもう一度見直すべきはこのような自然素材、
地球に還っていくことのできる材料をいかに現代人の生活に
再び浸透させていくかだと感じます。

そして解体されたあとの骨組みのあとには、
素掘りの穴が出てきます。

踏み板を外し、皆様で中を汲み取りましたが、
全然嫌な臭いがありませんでした。

改めて微生物や炭の力の凄さに感心させられます。



また素掘りの穴の側面には菌糸が付着し白くなっている様子が
見受けられます。

施工時は直角にまっすぐ切り落とされているはずの穴が
今回くみ取りを行った時は下側がえぐれて丸くなっていました。

溜まった炭や有機物により、微生物が作用し
土の側面にも菌糸が張り巡らされ、土が柔らかくなり、
下部がえぐれていったのかもしれません。

そして今回は小さな虫が少なくあまり出てきませんでしたが、
実は一年半前にも仕事の中でこの場所の汲み取りを行っており、

その時も嫌な臭いは全然しなかったのですが、
さらにその時は汲み出した炭の中は、
ダンゴムシや見た目、直感で良さそうな小さな虫の住処となっていて
そこには新たなコロニーが誕生している、
そのような状態でした。

その時はひとりで汲み取りを行っていましたが、
トイレの汲み取りを行いながら一人それをまじまじと眺めながら
感動にも似た感情でその小さな虫たちの生活を見守るという、
傍から見ると少し危ない人(笑)だったと思います。

しかし、それぐらい興味深く惹きつけられる虫たちの住処として
成り立っていたのでした。

それから一年半が経ち、人間と同じく、
その場所の環境も何らかの変化が有り、
前にいた虫たちも引っ越していったのかもしれません。

このような今までには出会うことのなかった些細な自然の変化にも
少しずつですが目が向くようになり、
自分の意識も変化してきているように思います。



そして、作業は着々と進み、新たな場所で木材で骨組みができ、
その下には新たな素掘り穴が掘られ、その穴の中にはさらに
ダブルスコップで掘れる大きさの深さ5.60cmの縦穴を掘り、
竹炭を入れ、いつもながらの竹筒通気口を差し込んだ
枝つめを行いその穴の中でより分解が行われやすいよう
処置を施しました。

さらにその素掘り穴には炭を敷き均しました。

そして今後は用を足すごとに炭やウッドチップ、籾殻などを
撒いて蓄積してもらうことで
今回のように臭いの発生しないトイレとなっていきます。

今回はスタッフとしてなかなか忙しかったので、
トイレの施工の様子や、味噌仕込みの経過の様子を
写真に収めることができず
ご報告がここまでとなり申し訳ありません。



その代わりと言ってはなんですが、
私個人として先日土気のフィールドをお借りして
自分で同じく味噌を仕込んでみましたのでその様子を
少し載せてみたいと思います。

まずは炊事小屋の時計ストーブに羽釜をセットし、
前日から水に浸していた大豆を気長にコトコト4時間半ほど
煮込みました。

ガス火と違い、薪は火の調節が難しく
羽釜の真下に火元があるとすぐに温度が上がってしまい
何度も吹きこぼしました。

昔の人たちはこのような調理にも経験を通して
扱いを心得ておられたのでしょうか。

煮込み終わった大豆は潰す工程へと入っていきますが、
先日のイベントでは木臼と杵で潰しましたが、
今回は量もそれほど多くなかったのでビニール袋に入れて
手で潰していきました。



次に買ってきた生麹をボウルにあけ
塩を入れ混ぜ合わせました。



そこへ潰した大豆をいれ混ぜ合わせます。



途中で大豆の煮汁も混ぜ合わせ
耳たぶの柔らかさになるまで捏ねました。



終盤にもなると最初の色合いとも異なり、
すでに味噌感の漂う感じになってきました。

それを今度は団子状に丸め、樽へと投げつけます。



投げつけるのは隙間に空気が入らないようにするためです。



そして一段ごとに手で隙間を埋め樽に密着させます。



そして最後の団子を押して一体化させ、
上に塩をまぶし、ラップをかけ(和紙が手に入ればよかったのですが)
落し蓋をし、重し石を乗せ、以前仕込んだ皆さんの味噌と
一緒に置かせてもらいました。




そして仕込みが終わったあとはのんびりと
持参したコーヒーを薪で沸かしたお湯で淹れてみました。



普段の賑わいのある土気や
仕事の時の慌ただしく動くときの土気とは違い、
しんみりとした土気の炊事小屋でいただくコーヒーは
何とも言えない落ち着きのあるものでした。

ふと外を眺めると先日完成した新たなトイレが
これからの新たな風を感じさせてくれるのでした。







投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

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