椎名

2015年2月26日 木曜日

水脈工事


 高田造園スタッフブログを御覧の皆様お久しぶりです。

3月に近づき徐々に寒さが和らぎ始める頃、正月明けからコツコツと続いてきた畑の作業も終盤を迎えてきました。

今年もこれから1年を通してお客様のお宅で植栽できるようにコナラやモミジ、ヤマボウシ等の落葉樹をメインに移植適期であるこの時期に掘り取り、根回しを行う事で植栽可能な根の管理作業を行ってきました。

今年は苗木からコツコツと育ててきたクヌギやコナラも成長し前回紹介しました「雑木の庭つくり日記」山の補植作業のブログでも紹介しています1枚目の写真が樹高50センチ前後だったもので、苗木植え付けから7年位のものだそうです。

昨日完成した筑波の現場でも使用しました。




この筑波の現場では植物を健康に育てる為の水脈工事がメインで宅地造成によって締め固められた土と元々ある粘性の土質によって壊された水脈が地下で滞り、有機物を腐らせ植物が育ち難い環境となっていました。

無理な間伐による日照条件の変化や締め固めた土による水脈の変化等によってこの地域周辺の雑木林等も傷みはじめているという状況でした。

今回の仕事はその109棟ある内の1件のモデル工事として行いました。

主な水脈の工事は即効性の物で竹筒による縦穴改善と素掘りによる横穴改善を行いました。
地上に降った雨が竹筒を伝い深さを変えて設置された竹筒間を移動する事で人為的に水脈を起こさせるというものです。

 もう一つの改善方法は植栽帯の下地の改善方法です。
通気性の悪い下地に枝等の有機物の積みあげとマウンド形成による高植えによって通気性を改善する方法です。
これは直接は改善になりませんが、根が不透水層を破る事によって改善されて行くものです。

初期の簡易的な改善では即効性の改善方法が有効なのですが、長い目を見れば自然の遷移によって環境改善を行う物でやはり植物を育てる為の環境づくりが大切になります。

 今回のモデル工事では先ほども紹介させていただきましたクヌギを使用しています。
高田造園で良く使用しているコナラより成長が強く直根が伸びる為、より環境改善能力の高い木という事で今回のような現場で使用する事があります。

 今はまだモデルとして1件の工事ですが、環境という視点の中で植えた今回の植物達がゆくゆく109棟の植栽と繋がりを持つ事で、雑木林の復活を含め豊かな環境へと変わって来る日が楽しみです。



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2015年1月15日 木曜日

ダーチャ村

 ブログをお楽しみいただいている皆様明けましておめでとうございます。
社員ブログが始まり早くも1年が経ちましたがお楽しみ頂けているでしょうか?

 
 高田造園では正月休みが終わると、仕事はじめの現場は土気にある社有林でした。
新たに新設する小屋の基礎石の据え付け工事から始まりました。

 
 昨年末に引き続き今年も社有林で色々と動きがあるようで、昨年末に完成したばかりの小屋では年明け後もNPOダーチャサポートの1つの活動拠点のモデルとして、見学会が開かれました。
 



 
 
 ダーチャといっても、まだまだ馴染みの無い言葉で、解らない方も多いと思いますので解説をしたいと思います。
「経済が著しく混乱していたソ連末期やロシア共和国初期、ハイパーインフレーションや給与支払いが半年、一年も滞り疲弊し切って、日々の食料調達もままならなかったロシア国民にとって、自活(自給自足)という最終手段で食料、現金収入を得る(自力で瓶詰加工など保存食も製造・保管していた)最後の場でもあった。今では郊外の自然保護、自力で無農薬の安全な食料を確保する手段としても重要視されている。」 (ウィキペディア参照)

 
 というのがダーチャの由来なんですが、今現在では都市に生活の場所を設け週末に郊外にあるダーチャを楽しむという様な使われ方をしているという事で、自然を理解して生活する、資源を最大限に活かす、我々日本人もかつて行ってきた事ではないでしょうか。

 
 ここ土気の社有林ではそんな昔ながらの生活を再現して新しい物を取り入れ実際に畑を耕し野菜も収穫できるようになりました。

 思えば2年前僕が入社した時もここ、社有林から始まりましたが、当時は水小屋と農具小屋があるだけで周りには背丈を越えるほどのササ藪で覆われていました。

その後整備されたササ藪の一部は樹木のポット苗の育成場所であったり、造園材料のストック場所でした。

 道が整備され山の中に入れるようになるとクワ、やサンショウ、タラの芽等山菜等も自生している事が解りました。
自然に目を向けそれを利用する、利用する方法を考えるという点では、もうすでにここ土気の社有林ではダーチャが進んできていると思いました。

また今後の動き等も含め随時報告して行きたいと思います。


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2014年11月15日 土曜日

世田谷区現場状況

 お久しぶりです、椎名です。

11月も半ばになると日が短くなり、高田造園でもなんだか年末の慌ただしさを感じ始めてきました。

これから本格化する手入れ周りの仕事を前に現在、4件の工事を進行しています。

 中でも前回も紹介させていただきました世田谷区のM様邸では11月もメインで施工していて、残す所駐車場の洗い出しと植栽と、完成が近付いてきました。

 
 前回のブログ「感動、大工仕事」でも紹介させて頂きました玄関前はこんな感じに仕上がりました。



正面に見える固定式のガラス戸の他に、もう一枚



引き戸が取りつきました。

これによって普段お客様をお出迎えする時には窓ガラスを通して奥の景色に広がりや期待感を与えてくれます。

写真ではその雰囲気が伝わりきらないのが残念です。


さて、我々高田造園組も負けてはいません。

 駐車場の高低差を解消する為の土留め工事では版築を行いました。



  元々M様邸では表面排水が流れやすく車道部まで雨水が流れ出していました。
その為コンクリート製の完全に水を遮断してしまう土留めよりも、排水性の良い天然素材を使用した版築にする事で土留め事態にも水分を保持しゆっくり排水させるような水脈改善の役割も兼ねています。

 今回の版築では土留めという事もあり少量の白セメントを使用している箇所もあります。デザインの様に層状に見えるのは、セメントやニガリ、石灰の配合を多少変えている為でもあります。

 
  基本的にはセメントを使用していない為版築には雨、風等による浸食を防ぐ為の笠木が必要です。

今回使用している笠木は洗い出しで作成しました。




 安易に規制品を使わなかったのは適した寸法で水落のある材料が無かった為でもあります。

 上部写真の笠木を見て貰うと長方形の物はありません。(一部柱材料覗く)

これは水を切る為に昔から用いられてきた形で単に見た目だけでは無く機能を考慮された形なのです。

  
 自然材料を使って作った製品は時間と共に変化して行きます。

 施工中の短期間の間でも変化していく雰囲気が、今後完成してからもどの様に変わって行くのか楽しみです。


 近々完成の報告をお楽しみください。




 






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2014年10月 5日 日曜日

感動、大工仕事。

 こんにちは、椎名です。

 
 
 今回は現在進行中の現場世田谷区のM様邸の工事の進捗状況を紹介したいと思います。

 M様邸のお庭では玄関前の木柵に続き玄関アプローチへと続く屋根や裏庭のデッキ、パーゴラ等構造物の作成が多く、何時もお世話になっている大工さん(古材を使った構造物を作るのを得意とする)による先行工事から行われました。

施工前の写真です。

 玄関前へと続くアプローチには仮設の階段があるだけの状態でしたが、万年塀の目隠しとして木柵、玄関を出てアイストップとなる木の板塀は隣地の既存木の緑を取り入れる工夫だけでなく、あえて癖のある板を使う事でそこを通る人の目を楽しませてくれます。

施工後の写真です。

 他にも玄関アプローチ正面に張られたガラスは明治時代の手作りのガラスで、棟梁が自らこの区画に合うように加工、建具を作り、覗くと奥の景色が歪んで見える窓ガラスから見える雑木の庭はまた格別なものでした。


今の建築ではなかなか見る機会が無くなった曲がった材料、


単に屋根としての機能だけでなく通る人を楽しませてくれるトンネルのようでした。

これから主庭駐車場工事、アプローチ、植栽等紹介していきたいと思います。

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2014年8月28日 木曜日

石張り工事。

 みなさんお久しぶりです、椎名です。

 真夏の日差しの照りつける8月も終わり新しい月の変わり目に、なんだか夏の終わりを感じ始めてきました。

 お盆休みを挟んだ8月というのは、造園業界でも1つの区切りの時期でもあり普段進めている工事に加え、お盆を前に庭をきれいにしたいというお客様の為に日々忙しく大変な時期でもあります。

 そんな8月にメインで工事を進めていた千葉県印西市のS様邸では石組工事、テラスの石張り工事が完成し、残すところ植栽工事や芝張り、仕上げ工事といよいよ完成が近づいてきました。



高田造園でのブログで初めて紹介する石張り工事は鉄平石の間に深岩石のアクセントを施した仕上げとなっています。

歩きやすさだけで無く見た目も追及しなければなりません。

石張りは昔から行われてきた舗装技術の一つで見た目が悪くなるとされる幾つかの禁止事もある程、見た目を追及されてきた舗装技術なのです。

四つ目地、八ツ巻き、通し目地等、(目地が直線に通ってしまったり、一か所に集まってしまったり)の形にならない事を前提に大小様々な石を組み合わせ加工して行くのです。



一つ一つの石が組み合わさり一つの模様を創ると自然と目線が下がり、今後植栽される地覆植物
が景観を創るのが楽しみです。

次回は完成報告をお楽しみください。

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