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2019年6月16日 日曜日

息を吹き返す

こんにちは。
高田造園の稲村です。

関東では7日に梅雨入りをし、ブログを書いている時も天気は曇りで、そんな空模様の外を時折眺めながらブログを書いておりました。
外作業が基本的な造園業としては、作業効率が落ちたりと仕事に影響がでてくるため、毎日天気予報に敏感になり頭を悩まさせられる時期です。
しかし、梅雨の時期があるからこそ日本の環境が保たたれており、自分たちの食生活が守られているのであると考えると、梅雨入りは喜ばしい報告なのではないかと思います。また、僕たちは植物があるからこそ仕事ができているわけで、植物にとって「恵みの雨」をもたらしてくれる梅雨には余計に感謝しなければいけないのかもしれませんね(´▽`)

そして、「水」つながりで
今月、期間書籍「自然栽培」の6月号が発売されました。
毎回面白いテーマで定期的に購読させて頂いていたのですが、今回のテーマが「水」と言うことでした。
水が循環するということはどれだけ重要なことなのか、それによってどんな恩恵がもたらされるのかなど、とにかく「水」を考える上でとても勉強になる本でした。
また、今回の「水」に関しての高田親方のお話も含まれているので、ぜひ読んでください。





さて、今回のタイトルは「息を吹き返す」と先輩方を見習って少しだけタイトルをかっこよくしてみたのですが、僕の場合まだタイトルと内容に若干差が出てきてしまうかもしれないので、その点はご了承ください。
先月竣工したT邸のお宅は、雄大な筑波山の麓にあり、お庭には、その筑波石が用いられた昔からある空積みの石積み擁壁が各所にあり、周辺のお宅を見ても同じように石積みの擁壁が見られました。
昔の人は、その土地にあるものを上手く使いながらその土地の造作を行い、それが農業技術の一つとして誰もがやっていたと考えると、本当に驚かされますね。
そして今回はこの元からあったお庭を、環境改善を行いながら改修を行っていくというものでした。



工事の初期段階では、石積みが所々で崩れていたり、階段では水の流れ道ができており、土の表面もむき出しの状態でした。
水路には多量の泥が詰まっており、水の流れも停滞していたため、その泥さらいと、等間隔に縦穴を開け土中の空気と水の循環を図りました。
すると掘った直後に石積みの間からは多量の水が流れ出し、泥さらいを行うだけで流量にはかなりの差が出ました。



石積みの修復には、裏込め石の間に藁と高田造園には欠かせない竹炭を挟み込みました。



石積みの修復が終わるとその上にカシなどの常緑樹とポットで育てたコナラなどの高木になる落葉樹の植栽をしました。
呼吸する石積みの近くに植栽をすることで、菌糸が石積みの方へ根っこを誘導し安定した石積みになるようにします。



5月でも気温は高く休憩中はここが特等席でした。
石積みが呼吸をちゃんとしているとひんやりとした冷たい風が流れています。
まるで自然の冷房機でした。



空積みで積んである石積みについたコケの様子



練積みで積んである石積みについたコケの様子

空積みと練積みではコケの状態にもはっきりとした違いがでます。
空積みの方はコケがみずみずしく元気ですが、練積みの方はコケが乾燥していて元気もありません。
これを見ていると、大地の呼吸がいかに大切であり、植物などに与える影響が大きいかがわかります。



石積みの間から出てきた杉の実生です。
まだ小さく健気ですが、この杉が大きくなり石積みを守っていってくれることを願います(^^)



今回植栽した樹木たちもしっかりと溶け込んでいます。
ちゃんとこの環境の仲間に入れてもらい、元気に生長してくれますように。



階段は石を組み直し、人が良く通る導線にはアプローチがしやすく、踏圧しないように大谷石を敷きました。
また、土がむき出しの部分にはウッドチップをまきしっかりと土を養生します。
空気感が変わり優しい雰囲気になりました。

昔の人はその土地に住むことでその土地の環境が良くなる造作をしっかりと行ってきました。そして今僕たちがそこに少し手を加えてきっかけを作るだけで、すぐにでも環境はよくなろうと動き出し、改善されていくのだなと思いました。
これからもこうした変化を沢山楽しみながら励んでいきます。

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2019年4月30日 火曜日

気淑く風和ぐ晴天に

スタッフブログをご覧いただいている皆様、ご無沙汰しております。高田造園の石井です!

毎日の日差しを浴びて、植物たちが芽を吹かせ、緑を広げるこの時期・・
ぷっくりと膨らんだ冬芽が、待ち侘びた毎日の陽気に著しく成長してのびのびと花や葉を広げていくさまはもはや神々しく、植物に携わる職業の私達にとっては、植物たちから最も元気をもらえる時期といってもよいでしょう!自然と気持ちも高揚します!
そうです、今回は、もっとも生命力に身を輝かせるこの時期の草木たちについて、お話ししたいと思います!



身近な木々たちを改めて眺めたいと思い、休日にカメラを持って事務所へ。誰もいない昼の事務所はなかなかに新鮮です。
ほぼ毎日来てはいるものの、こうしてゆっくりじっくり、近くから遠くから植物たちを観察すると、仕事に追われ心身が忙しない時には気づくことのできない植物の姿を見、想いを馳せることができます。



事務所のお庭へ。庭門を一歩くぐるといきなり雑木林に足を踏み入れたかのよう。
ゆらゆら揺れる木漏れ日に照らされた草木たちが美しいです。



いつもお庭を見守ってくれているお地蔵さんも、心なしかいつもよりほくほくとした表情をしているような。



野点もできるようにと配された四阿。少し背伸びして屋根をみると・・



こんなところにきれいな苔が!この苔にとっては落ち葉降り積もる林床より多孔質の屋根材の上のほうが居心地がよかったのかもしれませんね。



クヌギの花柄や小枝の下から、苔も可愛い新芽を懸命に伸ばしています。



用事もないのに事務所に入って、窓から蹲踞を見ます。一番の特等席ですね。
手入れをほとんどしないためどんどん逞しくなった貫禄のあるクヌギの幹と、縫うように光を求めてさらりと横に流れるモミジの枝ぶりが相まって絶妙の景色。



お庭を出て、駐車場を挟んで向かい、僕が高田造園に来てから二年間住んでいた囲炉裏小屋・・(今は囲炉裏はありませんが・・)
すっかり新緑に抱かれて、吹き抜ける風が心地いいです。



囲炉裏小屋横に置かれたポット苗の、コナラの新芽。私たちが庭づくりで一番使う樹木です。
事務所に根付いている大きな成木のコナラはもう新芽を固まらせつつありますが、ポットに植えたばかりの苗はまだ芽を膨らませるのに必死。
私は、この新芽の出たばかりの時期のコナラの姿が一番愛おしいと感じます!



小さな新芽に広がる銀色のトライコーム(毛)が樹木全体にちりばめられる様相は、神秘的ですらあります。
コナラはほかの落葉樹に比較して若干芽吹きの時期が遅いです。
このふわふわの毛布のような毛に包まれているところから思うに、少し寒がり屋さんなのかもしれませんね。



倉庫横のこの木々たちは、私が入社した四年前は2mから2.5mほどの背丈でした。
サクラ、クヌギ、マテバシイ、シイノキが競い合い守りあい、もう倍以上に伸びている樹木も・・



この時期はコナラ以外でも新芽の観察が面白く、接写ばかりになってしまいますが・・
これは、今にも開きそうなマテバシイの新芽ですね。
若干赤みがかかった逞しいさまは、あれ、どこかで見た食べ物のような・・



こちらもよくお庭造りで使います、マテバシイと同じどんぐりの常緑樹、カシの新芽。
ちっちゃい葉っぱが赤ちゃんのようでほんとにかわいらしいです。
マテバシイやカシ、ベニカナメモチなど、特に常緑樹の新芽は赤いものが多いと感じます。これは、組織が軟弱な新芽を紫外線から守るため、それを吸収するカロチノイドやアントシアンなど赤や黄色、橙を発色する成分が新葉に多く含まれるからなんだそう。
コナラの新芽といい、その場で生きようと生態を適用させてゆく植物たちの進化の過程には、舌を巻きます。



冬芽から新芽が芽吹き、陽気とともに新緑を茂らせるこの時期は、さまざまな植物から生命力を感じられるポジティブな季節です。
田植えやお茶摘みの時期でもあり、農の始まる時期でもありますね。

平成最後の快晴の日に、いつもそばで見守ってくれている樹木たちとゆったり対話する時間を設けられたことは、とてもいいリフレッシュになりました。
皆様がこの投稿をご覧になっているころは、新年号である令和の時代が始まっていることと思います。

植物のみならず、鳥たちや虫たち、春に躍動する生命の息吹を感じながら、一つの節目に気持ちを新たに、また、日々を過ごしていきたいと思います。
それでも日によって寒暖差の激しいこの時期、皆様も令和の最初の連休中に体調を崩さぬようお気を付けください。
それでは。

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2019年3月31日 日曜日

土気山での休日時間。

東京では観測地点で桜が早くも満開となり、
近くでは鶯も鳴き始め、春の気配が感じられ出した今日この頃。
皆様はどうお過ごしでしょうか。



先日土気山ダーチャフィールドでは、皆様をお招きして
恒例行事となりました味噌仕込みを行いました。

今年は例年にも増して大豆20キロ分の味噌を仕込み、
すべてを杉樽にて仕込みを行いました。

昨年の仕込みは岩富ダーチャにて、
木桶とプラ樽の2通りで行いましたが、
やはり天然素材である木の通気や、
長年住み着いている菌の作用による違いなのでしょうか、
プラ樽で仕込んだ方は若干の酸っぱさを感じ、
同時期同じ場所で保管していたにも関わらず、
杉樽の方は酸っぱさなどはなく、
出汁なしでも味噌汁が美味しくいただける
お味噌に仕上がっていました。

そこで今回はプラ樽は使用せずすべてを杉樽で行いました。

イベントには多くの方にお集まりいただき、
久しぶりに行われた土気山のイベントも
暖かく和気あいあいとした雰囲気に包まれました。



今回はいつもにも増して多くの大豆を煮込んだり、
お昼のお米を炊き込んだり、
さらには料理の支度にも火が必要なため、
あらゆる場所で竈がフル稼働という状態で
進められていきました。

スタッフとしてご参加いただいた女性の方々にも
ご尽力いただき手際よく準備が進みました。


そして、今回はもう一つ、
長年愛されてきた茅葺きのバイオトイレが
建て替えられるという運びとなり、
使いやすさの面を考慮して
パブリックスペースから少し離れた奥へ
移設されることとなりました。



新設される場所は以前親方が小屋を立てようと
斜面際に石積みを行った場所であり、
石積みにより段差が維持され
高低差が生じた状態で長年維持され、
段丘状になっていることから、
そこの土地の土中環境としては水や空気が動いていて
素掘り穴のトイレの場所としても以前の場所よりも
微生物が活発に働きやすい場所と言えます。




茅が皆様の手によってはらりと剥ぎ取られ、
トイレは骨格だけとなりました。



私はこのトイレが出来た当初はまだおりませんでしたので
改めて見ますとこんな感じになっていたのかと
剪定した枝も使い方次第で活きてくるものだと実感させられます。

このあと解体された茅は畑をマルチングする材料として、
太枝は分解して施工時でもよく行われる枝葉のしがら組へと
使われていきます。

その場で役目を終えても自然材料であれば
造園の仕事においてはいくらでも使い回すことができ、
最後には土に、地球に還っていく。

地球上で私たちが生活の中で使っていくものは
できる限りこのように使い回し利用、循環させていくのが理想で、
先人たちが今までやってこられたことです。

科学技術の発展で便利なものは今の時代に溢れていますが、
プラスチックが世界各国で溢れて汚染されている状況で、
私たちがもう一度見直すべきはこのような自然素材、
地球に還っていくことのできる材料をいかに現代人の生活に
再び浸透させていくかだと感じます。

そして解体されたあとの骨組みのあとには、
素掘りの穴が出てきます。

踏み板を外し、皆様で中を汲み取りましたが、
全然嫌な臭いがありませんでした。

改めて微生物や炭の力の凄さに感心させられます。



また素掘りの穴の側面には菌糸が付着し白くなっている様子が
見受けられます。

施工時は直角にまっすぐ切り落とされているはずの穴が
今回くみ取りを行った時は下側がえぐれて丸くなっていました。

溜まった炭や有機物により、微生物が作用し
土の側面にも菌糸が張り巡らされ、土が柔らかくなり、
下部がえぐれていったのかもしれません。

そして今回は小さな虫が少なくあまり出てきませんでしたが、
実は一年半前にも仕事の中でこの場所の汲み取りを行っており、

その時も嫌な臭いは全然しなかったのですが、
さらにその時は汲み出した炭の中は、
ダンゴムシや見た目、直感で良さそうな小さな虫の住処となっていて
そこには新たなコロニーが誕生している、
そのような状態でした。

その時はひとりで汲み取りを行っていましたが、
トイレの汲み取りを行いながら一人それをまじまじと眺めながら
感動にも似た感情でその小さな虫たちの生活を見守るという、
傍から見ると少し危ない人(笑)だったと思います。

しかし、それぐらい興味深く惹きつけられる虫たちの住処として
成り立っていたのでした。

それから一年半が経ち、人間と同じく、
その場所の環境も何らかの変化が有り、
前にいた虫たちも引っ越していったのかもしれません。

このような今までには出会うことのなかった些細な自然の変化にも
少しずつですが目が向くようになり、
自分の意識も変化してきているように思います。



そして、作業は着々と進み、新たな場所で木材で骨組みができ、
その下には新たな素掘り穴が掘られ、その穴の中にはさらに
ダブルスコップで掘れる大きさの深さ5.60cmの縦穴を掘り、
竹炭を入れ、いつもながらの竹筒通気口を差し込んだ
枝つめを行いその穴の中でより分解が行われやすいよう
処置を施しました。

さらにその素掘り穴には炭を敷き均しました。

そして今後は用を足すごとに炭やウッドチップ、籾殻などを
撒いて蓄積してもらうことで
今回のように臭いの発生しないトイレとなっていきます。

今回はスタッフとしてなかなか忙しかったので、
トイレの施工の様子や、味噌仕込みの経過の様子を
写真に収めることができず
ご報告がここまでとなり申し訳ありません。



その代わりと言ってはなんですが、
私個人として先日土気のフィールドをお借りして
自分で同じく味噌を仕込んでみましたのでその様子を
少し載せてみたいと思います。

まずは炊事小屋の時計ストーブに羽釜をセットし、
前日から水に浸していた大豆を気長にコトコト4時間半ほど
煮込みました。

ガス火と違い、薪は火の調節が難しく
羽釜の真下に火元があるとすぐに温度が上がってしまい
何度も吹きこぼしました。

昔の人たちはこのような調理にも経験を通して
扱いを心得ておられたのでしょうか。

煮込み終わった大豆は潰す工程へと入っていきますが、
先日のイベントでは木臼と杵で潰しましたが、
今回は量もそれほど多くなかったのでビニール袋に入れて
手で潰していきました。



次に買ってきた生麹をボウルにあけ
塩を入れ混ぜ合わせました。



そこへ潰した大豆をいれ混ぜ合わせます。



途中で大豆の煮汁も混ぜ合わせ
耳たぶの柔らかさになるまで捏ねました。



終盤にもなると最初の色合いとも異なり、
すでに味噌感の漂う感じになってきました。

それを今度は団子状に丸め、樽へと投げつけます。



投げつけるのは隙間に空気が入らないようにするためです。



そして一段ごとに手で隙間を埋め樽に密着させます。



そして最後の団子を押して一体化させ、
上に塩をまぶし、ラップをかけ(和紙が手に入ればよかったのですが)
落し蓋をし、重し石を乗せ、以前仕込んだ皆さんの味噌と
一緒に置かせてもらいました。




そして仕込みが終わったあとはのんびりと
持参したコーヒーを薪で沸かしたお湯で淹れてみました。



普段の賑わいのある土気や
仕事の時の慌ただしく動くときの土気とは違い、
しんみりとした土気の炊事小屋でいただくコーヒーは
何とも言えない落ち着きのあるものでした。

ふと外を眺めると先日完成した新たなトイレが
これからの新たな風を感じさせてくれるのでした。







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2019年3月 3日 日曜日

初めてのご挨拶

 初めまして、スタッフの稲村と申します。
高田造園に入社して早1年以上経ちますが初めての投稿になります。
ご挨拶が遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした。
これからは定期的に現場の雰囲気や高田造園の日々の活動などを、文章表現が苦手な僕ではありますが、お届けできるように頑張ってまいりますので、あたたかく見守って頂ければと思います。

 高田造園に入社してからもう少しで1年半になろうとしています。
入社してからのことを改めて振り返ってみると、本当にあっという間だったというのが正直な感想です。
造園工事は初めての経験でしが、それだけでなく環境改善など高田造園の仕事は多義にわたるため、全てが新鮮で、毎日が勉強でした。
例えば、植栽をしたからと言ってそれが終わりではないのです。その土地が少しでも良くなるように、植栽した木々たちがその土地に馴染み健康に育つようにといった様々な想いがあって、水脈を改善したり、植え方に拘ったりと様々なことに工夫がこなされているのです。
そのようなことを毎日考えていると、次第に自分の考え方などが変化していき、樹木1本1本から身の回りの環境に至るまでの自分の見方が変わっていったように思えます。
約、1年半を通して多くの事を勉強できたと思いますが、まだまだ全然足りません。これからも高田親方の下、技術、知見、感性を磨いていきます。



早速ですが、先日竣工致しました現場の紹介をしたいと思います。

ここは埼玉県内の某現場でした。
市の古地図を見てみると、その地域一帯は以前は田んぼとして活用されていた土地らしく、そこが今は宅地開発され住宅街となった場所で、工事の初期には穴を30~40センチ掘るとすでに水が大量にしみだしてくる状況でした。そこで、まずは縦穴などの水脈改善を行い、土中の水と空気の流れを良くし、土地が正常な呼吸ができるようにしました。すると、次第に同じ深さを掘っても水が出てこなかったりと、工期の間でも改善の効果が少しずつ出てきているのではないかと感じるようになりました。



工事途中の風景です


完成後の風景です

工事途中の写真と比べてみると玄関前だけでも圧倒的に樹木が増えてのが分かります。
樹木があるだけでこんなにも雰囲気が変わりますね。
これから新芽が出で来ると、もっと緑量が増すので楽しみです。

庭の中には露地(茶庭)があります。










茶庭を造るのは僕自身は初めての経験だったので新鮮でした。
アオキなどの常緑樹が茶庭の雰囲気を引き出してくれている気がします。

竣工した2月の中旬にはマンサクの花がたくさん出始めていました。

現場には数本のマンサクが植えられています。恥ずかしながら、高田造園に入るまではマンサクをあまり見る機会がなかったのですが、花が特徴的でとてもきれいな花です。
マンサクは漢字で満作と書き、「豊年満作」やまだ雪の残っている山中に一番に咲く花なので「まず咲く」が名前の由来だそうです。
ちなみに僕は結構気に入っています。
皆さんも見かける機会があったらぜひチェックしてみてください。


ついこの間年が明けたかと思っていたのですが、気づけば辺りは梅の花が咲き始め徐々に春の気配を感じるようになってきましたね。
造園を始めて四季の移ろいを心から感じれるようになり、楽しめるようになりました。
まだまだ未熟者ですが、これからも頑張ってまいりますのでよろしくお願いします。

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2018年10月24日 水曜日

冬に向けた薪準備と大工見習い。

高田造園スタッフブログをいつもご覧くださいます皆様、
ご無沙汰しておりますスタッフの松下です。

最近高田造園では親方のブログでも掲載されておりました通り、
工事も今まで掛からせていただいておりました現場もひと段落し、
早くも次の工事の準備に取り掛かっております。

工事や手入れの合間を縫って、雨など天候の優れない日には
事務所では冬支度もしております。

千葉では昼はまだ25度を超える日もありますが朝晩はひんやりとしており、
通勤にはジャンパー、朝早くの身支度にはヤッケは欠かせなくなりました。



こちらは千葉某所から大量に運んできた薪を事務所横の薪棚へと
運び込んでいる様子です。

軽トラを一台満載にし、軽トラをヒーヒー言わせながら運んで参りました。



この薪は佐倉市にあります岩富ダーチャいのちの杜で、
今年の春、私たちがこちらもまた仕事の合間で割った薪です。

直径3、40センチはあろう広葉樹の幹丸太をみなで斧で割りました。


事務所にありますストーブはダルマストーブで、



本来は薪ストーブではなく石炭ストーブなので、
燃焼力が高く薪が早くなくなってしまいますが、
部屋全体に幅広く熱が広がるので、
事務所の冬には欠かせない存在です。



事務所に積み込み終わった後は、
土気ダーチャフィールドにも運び込みます。

いつも薪を使って火を起こしていると、
薪棚が薪で埋まると何とも言えない安心感があります。

今年も薪ストーブが恋しくなる季節がもうそこまで来ています。


さて、こちらは春からスタッフの石井、松下の同僚コンビで
参加させていただいている大工塾の様子です。



仕事で木工をするので、それを大工仕事を通して身につけたいと志願し
毎月1回のペースで行かせていただいています。

第1回目には製材所へも連れて行ってもらい、
丸太を製材する様子も見せてもらいました。

普段何気なく柱材や板材を扱っていましたが、
実際に見せていただくとより身近に感じることができます。



これは曲尺(さしがね)と呼ばれる必須の大工道具で、
この丸太から最大で何寸角の角材が取れるのか教わっています。

曲尺の表と裏側を使うと計算なしで割り出せます。

今まで曲尺は矩(かね)を出して墨を打つ(線に対して直角に線を引く)
ためにしか用いたことありませんでしたが、
大工さんはこの曲尺を巧みに使いこなし、
素人では思いつかないような部分の寸法を容易く割り出します。



これは第2回で体験的に作らせてもらった木材と木材の継手です。

日本建築の伝統工法では角材と角材は、継手で組んで作られます。



最初に寸法通りに墨を打ち、その墨通りにノコとノミで削っていきます。

これは家の基礎の上に回る土台の角材と角材を継ぐ、
「鎌蟻継ぎ」と呼ばれる継手です。



見た目通り複雑なので、簡単に浮いて離れることはありません。



第3回では現場に行くと既に棟上げが終わっていました。

やはり最初から実際に見たかったので残念でした。

ですが、自分たちが加工した継手は大工さんたちの手によって、
きっちりと基礎の上に納まっていました。



さすがに現場では大工さんが主導で、私たちはその手元といった感じです。

小さい頃に自分の家が木造で建てられたときに、
正に基礎の上に柱組だけしてある現場に行ったことがありましたが、
その時はここまでまじまじと観察もしなかったので、
家が徐々にできていく様を見るというのは勉強になりますし、楽しいです。



これは柱と柱のあいだに貫(ぬき)と呼ばれる板をはめ込んでいる様子です。

伝統工法の日本家屋が地震に強く100年、200年と持つのは
柱と柱の上に渡された梁(はり)、桁(けた)、胴差しと呼ばれる骨格材と、
この貫で箱状に一体化させることで
全体で持たせる構造になっているからです。

建築基準法の改正で現在の住宅は筋交い(斜めに入れる補強のつっぱり)と、
固定金物を使用しないといけなくなっていますが、
昔の建築物には用いられていませんし、用いられていない住宅で
100年、200年と持っているものも今となっては少ないですが、あります。

昔の家というのは、石の上に柱が建っているので
地震で揺れても建物だけが滑るように揺れを吸収し、
また筋交いがないので、全体の木が連動して動き、
グラグラ揺れるけど、力を逃がせる構造になっているのです。

古くから「柔よく剛を制す」とはよく言ったもので、
言葉の使いどころは違えど、
日本人の精神が垣間見られる工法と言えます。

実際に補強で用いられる斜めの筋交いは
元々は西洋建築から来ていて、
明治以降に入ってきたものだそうです。

自然を力で押さえ込もうとする西洋と、
自然の力に畏敬の念を持ち、その中で生きようとする日本人の姿勢が
工法としても対照的です。



組みあがっていくと柱と柱が、梁と桁と貫で
つながっているのが分かります。

このあとは鉛直方向を「下げ振り」という道具で確かめ、
「屋直し」を行います。



屋直しとは、そのままでは垂直に建ってない柱組を、
引っ張り起こして、きっちりと垂直に建てる作業のことです。



これを外周4面すべてで確認し、調整しました。

そして、屋直しを終えると在来工法のため筋交いを設置し、
梁の上に「小屋束(こやづか)」を立て、中心に「棟木(むなぎ)」を渡し、
そこから下に「母屋(もや)」を取り付け、「垂木(たるき)」をその上に架けて、
屋根を付ける前の骨組みが完成しました。



普段植木屋ですので、高いところは慣れたつもりでいましたが、
木の上とはまた違った、掴まるところのない高所で、
スイスイと動かれる大工さんの手際の良い作業に
ただただ見とれながら作業の様子を観察していました。



普段建設真っ只中の現場には踏み入れたことがなかったので
今回の経験は建築をよりリアルに感じる上で良い体験となりました。

次回以降の作業は、また次に書き記します。


最近は昼間はまだ温かいですが、朝晩は急に冷えてきますので
皆様体調を崩さぬよう気をつけてお過ごしくださいませ。


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