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「臼杵、国東文化と石仏の旅1」 (平成18年7月撮影) 
大分県東南部に位置する国東半島、中世には六郷満山と呼ばれる独自の仏教文化を形成し、他に類のない、有形無形の独自の文化を今に伝えています。
そして別府の南、臼杵には日本唯一の国宝石仏、古園磨崖仏大日如来石仏はじめ、数多くの大変優れた磨崖仏が存在します。
豊後のこれらの地方になぜ、日本随一独自の石造文化が育まれたのか、それが知りたくて今回ついに豊後に足を踏み入れました。
石造美術の魅力に引き込まれたものが必ず辿り着くべきところが、臼杵や国東半島です。また、これらを追求することで見えてくるものがあり、そのために私は、歴史文化遺産の残存する土地に足を運び、心を触れ続けております。独自の文化を育んだ風土、数々の心震わす文化財を紹介しつつ、心の遍歴を思うままに語りたいと思います。
国東半島の風土
国東と記して「くにさき(国先)」と読みます。本州四国九州の境に位置する周防灘に面した国東半島、はるか上古の昔、大陸から九州へ渡来した我々の祖先が東へ向かい行き着いた先が「国の先(国東)」であったところから、この呼び名が生まれたように、私は想像しています。

■谷間に広がる美田 
豊後米で有名な国東半島、険しい谷あいには、どこまでも美しい田んぼが広がっています。はるか平安の昔、宇佐神宮所管荘園の美田が今もなお当時の姿を留めていることに、この地域に生きてきた人々の驚くほどの敬虔さと無欲を私は感じてしまいます。

 
■奇岩懐石群 
国東半東の山は険しく奥深く、太古の匂いやまぬ深山幽谷を感じさせます。阿蘇山の噴火によって堆積した凝灰岩の侵食により、中国の黄山や武陵源を髣髴させる奇岩懐石の景がいたるところに見られます。これらの雰囲気がはるか上古には岩座信仰の地、そして後には密教修験の地として発展した背景には、この独自の自然景観や雰囲気を無視することはできません。
 

■天念寺岩峰と無明橋 
険しい岩峰の上部には祠や石塔があり、無明橋と呼ばれる石橋が望めます。いつ、誰が架けたのでしょう。国東修験の地の景は、まさに北宋南宋時代の中国水墨山水画を思わせます。大陸に近い地理条件と独自の自然景観、独自の文化は生まれるべくして生まれ、育まれてきたことが素直に納得できます。

     
■宇佐八幡宮と六郷満山
国東半島の頸部に位置する宇佐八幡宮は、全国四万に及ぶ八幡宮の総社です。創祀ははるか飛鳥時代にさかのぼり、古代から由緒の地として開けていたようです。
この宇佐八幡神の応現とされる仁聞菩薩が六郷満山と呼ばれる数々の古寺を開創されたと伝えられます。宇佐独自の神仏習合文化、その中心的存在がこの宇佐八幡であり、大和朝中央の文化をよく吸収して、国東の
原始宗教とも融合しつつ、独自の地域文化を創ってきたようです。
     

■暮らしに生きる信仰
里の道すがら、当たり前のように佇む鎌倉末期の板碑。
板碑や五輪塔など、中世の石造品が国東では当たり前に見かけることが出来ます。千年の風雨に耐えて残る、信仰に基づく石造品、暮らしの中で守られ続ける背景には、地元に生きてきた人々代々途切れることのない敬虔な庇護が不可欠です。
 暮らしの中に当たり前に残るこうしたものが、国東の地で仏と共に生きる人々の心の清らかさを感じずにいられません。

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