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「臼杵、国東文化と石仏の旅3」 (平成18年7月撮影) 
国東半島の磨崖仏
自然の岩盤や巨石に彫刻した仏像の事を磨崖仏といいます。豊後の国は磨崖仏の文化圏として有名で、日本の磨崖仏の8割は大分県にあるとも言われ、中でも国東半島はもっとも集中する地域の一つで、これもまた独特の国東文化に基づいた大変ユニークな特色を有しています。
 国東半島には日本にある全ての石仏が存在するといいます。しかし、これほど多く残存するにも拘らず、優れた石仏の作者の名は全くといってよいほど記されていないのです。これがこの地域らしさであると感じます。
 国東の人々は上下貴賎を問わず一人一人が自ら発願し、心魂込めて石に取り組んだようです。このことが、自由で形式無視の荒削りだが肉迫感あふれる、国東石仏の様々な特徴を生み出してきました。
 人々の信仰心と自由な素朴な創作意欲、国東磨崖仏に込められた様々な魂を、ここで紹介したいと思います。

■熊野磨崖仏(国指定重文) 
六郷満山の一つ、胎蔵寺から山道の乱積み石段を延々と登ると、凝灰岩の巨岩に刻まれた大変雄大な石仏群、熊野磨崖仏が見えてきます。日本を代表する磨崖仏の一つ、山深い周囲の雰囲気と共に神秘的で心打たれる霊場の感がありました。
平安後期藤原時代の造立との推定が有力です。

 
■熊野磨崖仏 不動明王像
総高約8mで厚肉彫りの磨崖仏としては日本最大とされ、実物は大変な迫力があり、思わず手を合わせてしまいます。一般的な不動明王の憤怒相ではなく、人間味あふれる優しげな相でむしろ可愛いらしさを感じます。こういった自由な様相も権現信仰に基づく国東独自の感があります。
 

■熊野磨崖仏 大日如来像 
大日如来によくある宝冠も印相もないのですが、確かに大日如来なのでしょう、森厳な理知の光を感じます。
 総高6,8m、大日如来像の鋭い相貌は、人間的な優しげな不動明王と不思議な協和音を奏でていました。
 それにしても不思議な空間で、とても印象深い大変魅力的な石仏群でした。

     
■鍋山不動磨崖仏
80段の石段上部山中にあり、被屋がかかります。2,3mの不動明王を中心に、脇侍2童子が見られます。鎌倉時代中期の作と推定されています。密教山岳修験であった国東には不動明王石仏が特に多く見られます。
     

■大門坊磨崖仏
苔が生し磨耗が進んでいますが、鎌倉期と推定される磨崖仏です。5体のうち、多聞天立像、薬師如来坐像、大日如来坐像、不動明王立像は鑑別できます。
 一般的な石仏配置の常軌を逸したあり方や稚拙で自由な刻出に大らかさを感じます。

     

■元宮磨崖仏 
室町時代の作と推定されます。向かって右から毘沙門天、コンガラ童子、不動明王、セイタカ童子(欠落)、持国天、地蔵菩薩、のようです。

     

■天念寺川中不動 
川の中の巨石に刻まれた不動三尊像です。天念寺は再三の水害で往時の堂宇や貴重な木像も流されてしまいました。川中不動と呼ばれるこの磨崖仏は江戸時代の作ですが、いまだ厚い信仰を受けているようです。

     

■天念寺川中不動三尊磨崖仏 
よく見るとぎこちない作ですね。不動明王の脇侍2童子の背は高く、肝心の不動の威厳がありません。でも、おおらかな存在感はあります。国東には秀作もあれば稚拙なものもある、これが上下貴賎を問わずに盛んに造立された、地域に根ざした仏教文化を物語っているようです。

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