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| 房総賛歌〜風土と施主と作庭者のコラボレーション (千葉県袖ヶ浦市 平成19年3月施工)
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房総特有のなだらかな丘陵を遠望する千葉県袖ヶ浦市、広々とした周囲の畑に面して、この家は座していました。
庭は周囲の景色と切り離しては考えられません。恵まれた環境を活かし、周囲の風景全てを庭に取り込みつつも同化せず、なおかつ周囲と調和した庭、この土地のこの環境にあるのが自然な庭、のどかで美しい房総の野にふさわしい住まいの庭、そんなコンセプトを持って設計施工に臨みました。 |
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■ 施工前の家
広々とした菜園に面して、この家は佇んでいました。 |
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■ ウッドデッキ施工中 家の構造材はダグラスファー(北米産の針葉樹材)です。これに質感が似ていて、なおかつ屋外での耐久性を考慮し、デッキ材にサイプレスを用いました。
桟橋の形状は、前方の自然風景につながるイメージで、カヌーが趣味のこの施主の庭においては、このような形になりました。 |
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■ デッキ施工後
左側の通し柱は洗濯物干しとなります。デッキ部分と桟橋との接続や桟橋の幅や向きなど、変わった意匠は細部の細やかさがとても大切になります。 |
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■ ステップ石施工
桟橋に続く2石は飛鳥の石、これに続く大判のステップには立体的な主張をしない、おとなしい根府川石を用いることにより、桟橋と飛鳥石の2石の存在感を引き立てます。 |
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桟橋正面の斜石に、木化石を用いました。高さ2m近くあります。この庭の石組はこれだけです。石のない房総の風景に石組みの庭はなじみません。
だからこそたった1石の巨石を力強く据え、風景に対峙させました。また、ステップの石のラインを桟橋越しに立石に繋げ、力の流れを強調し、風景に重心をもたらしました。 |
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御影石の縁石で大地に人工的直線を刻みます。 |
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桟橋左側は低く単純な木柵で景色を仕切り、人工的なラインで周囲の風景と対峙させます。狭い庭を抽象化し人工化することによって周囲の自然風景を更に引き立てることが狙いです。また、この庭の主人公は常に隣地の柿の木ですから、この木をデザインの主景にしています。 |
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■ 盛り土、地形作り終了 桟橋の右側は盛土として、遠景の丘陵ラインと対比させました。盛り土の形状も地こぶを誇張し抽象化することで、スケールの小さな盛り土の造形が遠景の丘陵のスケールに対し、ボリューム的にも負けることなく対峙できるのです。
抽象化しない自然主義的な盛り土の場合、本物の自然のスケールに対峙して決して敵うものではありません。こんなところに人間による造形活動の意義や素晴らしさがある気がします。 |
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■ 雑草植栽
盛土部分を中心に、外周部分は野原の雑草を張りました。周囲の畑や野原の一部が庭に攻め寄せ、周囲の全てを庭に繋げていきます。 |
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盛り土の雑草植栽により、庭の境界をぼかして周囲の風景を庭に接続させました。
見た目の庭面積は遠景の丘陵ラインにまで繋がってきました。 |
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縁石の抽象的なラインで区画したスペースのグランドカバーに、タマリュウ、叩き、ノシバ、雑草と仕上げていきます。
恵まれた風景に庭を作る、それは自然の模写であっては何にもならないのです。
大地に敬意を表し賛美した結果の人工化、抽象化の中にこそ、人間の創作活動の本質があるように思います。 |
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施工後の外観。南西側から。外観的にもこの土地にあるべき佇まい、それを心がけて風景創りを試みました。雑草植栽の境界はぼかして周囲の畑と繋げています。 |
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施工後の外観。南東側から。柵の外に植栽した菜の花やカモミールの花越しに家を望んでいます。自然と人為、自然と抽象、この瀬戸際せめぎあいが終始今回の庭作りの鍵を握ります。 |
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景色をまとめて引き締める立石周辺の主景。見える風景全てを構成してまとめてみました。 |
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房総の庭というより、千葉県袖ヶ浦市のこの地に一期一会の庭を作りました。風土と施主と作庭者、その3つのコラボレーションが庭の形を作ります。これに気付くと庭の可能性は無限に広がります。なぜなら、その3つの要素は常に一期一会なのですから。 |
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柿の木の下に植えたカモミールの花を摘む施主。仕切りがありながら境界がないのがこの庭の特徴の一つかもしれません。
庭を作るのは作庭者ではなく、作庭者と施主と大地のコラボレーションの産物なのです。美しい地域の風景を作り育てるために、忘れてはならない大切な事を、この仕事を通して学ぶことができました。施主とこの地に感謝です。 |
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