お知らせ

2021年10月17日 日曜日

ご挨拶

はじめまして、2021年5月より高田造園で働かせていただいています髙嶋伊織と申します。

もうすぐ半年になりますがブログを書かせて頂くことになりました。
高田さんの著書『土中環境』に感銘を受け、実際に高田さんの下で修行させて頂く中で感じたこと等をお伝えさせていただきます。
何から書けばよいのかなかなか筆が進みませんが、今回は施工中の写真が多く残っている川崎市明長寺の雨落ち工事を紹介させていただこうと思います。

私は造園業界に入る以前は建築に携わっておりました。

建物に降ってくる雨水は排水させるという考えが通例となっている中でその考えとは全く逆の、水を捨てるのではなく大地にしみ込ませてその土地を潤わせ、涵養するという仕組みを作らせていただきました。
お寺などで建物に雨樋がなく溝に石を敷き詰めて雨水をはけさせる、という光景は目にしていましたが以前は土中環境の視点がなかったため、その雨水の行先は気にしていませんでした。
今となってはそのお寺の溝の石を剝がしてみて水が排水されているのか、浸透させているのか、がとても気になります(笑)。
そして浸透させていたとしても、その過程は高田造園の自然界への知恵と工夫と愛がつまった方法とはきっと違うのではと思います。

以下、工事の様子を記させていただきます。


まず雨のおちてくるラインに沿って溝を掘ります。





夏の暑い日で、世間ではオリンピックが開催されていました。高田造園では随時、掘リンピックを開催しています。


休みます。





溝の中にさらにダブルスコップで縦穴を掘り、さらにバール等で穴を深くしておきます。






穴に竹炭、もみ殻燻炭を入れそこにぐり石を小端立てに入れて隙間に落ち葉や枝葉を詰めます。







溝の底に竹炭を敷き詰めます。






下地の石として大谷石等を砕いたものを敷き詰め、竹炭、もみ殻燻炭、落ち葉を隙間に詰めます。






仕上げの石として浅間石を敷き詰めます。ここは通路となる予定なので足ざわりを確かめながら並べていきます。





最後の仕上げとして砕石、落ち葉、竹炭、燻炭をさらに撒き、敷き詰めて完成です。






地面を水が通る過程でこの石と落ち葉、炭、燻炭の層の中で微生物や小動物、菌類を育み、それらが生を営む中でその水を浄化します。
水は横にある弁天池に達しその土地で循環し、水と空気の巡りが促され、周りの木々も一体となって健やかな成育をできる気持ちの良い環境だと感じます。





以上、高田造園で行っている造作のほんの一部分ですがとても楽しい工事をさせていただきました。


一見、緑があって豊かな環境だと感じていた場所、あるいは日本という土地はおのずと何かしらの植物が生えてくるので自然が豊かだと自分では思っていました。
しかし、そのように見えていた中にも実際は水と空気の巡りが悪くなっている場所があるということに高田造園で働かせていただく中で気づかせていただきました。


「ただちに影響はありません。」最近時折耳に入るイメージの言葉ですが現代社会の象徴の一つだなあと最近感じています。
現代文明の恩恵を受けて生活している私ですが、一見すると良く見えることでも、あるいは問題がないようにも思えることでも人間にとっては結果と原因を結び付けにくい数年から数十年に渡る長いタイムラグで、
後々に及んでくる影響が取返しのつかないことになりそうなものを私たちは多く抱えているのではないかと思います。
昨今の多発する災害や水害を目にして、その恩恵と引き換えにしたものが、じわりじわりと忍び足で近づいてきている、あるいはすでに地球はこの大地を私たち人間にとってはつらく痛々しい現象で粛々と自らを浄化しはじめているのかとも感じることがあります。

そのような中でも高田造園での日々ではその暴走する社会にブレーキをかけ方向転換をしようとする人々が多く交流し、また自分も実際に現場に立ち、明るい未来につながる今を経験をさせていただき、これからの自分が生きる上での大きな道しるべをいただいております。


自分は磐座を見ることが趣味の一つで神社、仏閣や山等に出かけたり、調べたりするのですがその中で時折、目にする話で思うことがありました。
空海が杖を一突きすると水が湧いてくる、といったような話は少し誇張はされているかもしれないが実際に風水を読める優れた人がそのような場所を示していたのではないか、また、昔の僧侶が暴れる龍を治めたというような話は僧が、治水工事をして土地を人が住みやすいようにしたということが時の経過と人々の言い伝えのなかで変化したものなのかなと、現場で大穴を掘って池を湧き出させたり、地形を読み取りその土地にとってやるべきことの指示を繰り出す高田さんには、そのような古の僧の姿が生き生きと甦ってくるような感覚をいただいています。



話は少しそれましたが、ありがたい貴重な日々をいただいている高田親方はじめ、お世話になっている関係する方々に改めてこの場を借りて感謝を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
未だ気付かないことや見えていないことが多く、未熟な私ですがこれからも高田造園での一日一日を大事に少しずつでも成長し精進していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

















投稿者 株式会社高田造園設計事務所