石井

2019年10月 1日 火曜日

木々が護ってくれるもの

いつもスタッフブログをご覧いただいている皆様、お世話になっております。
高田造園の石井です。

皆様もすでにご存じのことと思いますが、先日、千葉県における観測史上最強風速の台風15号が甚大な被害を残しました。



台風が過ぎた翌日に会社に向かっても、いたる道路が電柱や建築物の倒壊、倒木などで交通機関は麻痺し、町は惨憺たる有様でした。
千葉市に構える弊社の資材置き場やダーチャフィールドなども倒木や数日の停電がありましたが、特に千葉南部では被害が甚大で、二週間以上の停電や断水、一万件以上の住居の屋根飛びや破損、ハウスの倒壊など・・農林業の損害は、東日本大震災を超えたと指摘されています。
現在ではほとんどの地域で停電や断水が解消されたようですが、未だ多くの地域で復旧活動が続いています。

中でも特に植木屋という職業柄か、倒木の悲惨さにどうしても目が行ってしまいます。
人工林のスギ林などが軒並み幹折れし、電線に引っかかっていたり道路を塞いでいたりという光景は、信じ難い光景でした。

いまだに、電線に引っかかったままの樹木が処理されていない道路も多々あります。





そのような状態が続いていますが・・高田造園のスタッフとして、強く訴えさせて頂きたいことがあります。


それは、「健全な木々が町に在ることがいかに重要であるか」ということです。



今回の台風における多くの倒木によって、住居や交通網に接する木々の安全性や千葉の人工林の問題点が様々なところで唱えられています。
確かに倒木によって多くの被害が出たことは事実であり、それによって苦しい思いをされた方々には大変恐縮な表現に聞こえてしまうかもしれませんが、これを一概に「木は危険だ」とし、生活圏から樹木を排除する風潮や論説が上がらないか、非常に心配しています。

木々は、目には見えないところで、確実に私たちの生活を穏やかなもの、健やかなものにしてくれています。

倒れている樹木が私達のライフラインを寸断している衝撃があまりにも大きくて、粘り強く根を張り続けた木々には一見目が行きませんが、それらの木がなければ、あの暴風は少しも緩和されず、より多くの住宅被害が出ていたであろうことが容易に想像できます。

もちろん、木が穏やかにしてくれるものは風だけではありません。

その樹冠は木陰を作り、蒸散を行うことによって、夏を涼めてくれます。

都心の激しいビル風やヒートアイランド現象を思い返していただければと思います。いかに建築物のみで構成された環境が、外空間の微気候を心地よくないものにしているでしょう。
まだ残暑が続いていますが、太陽照り付ける街では気づけば街路樹の木陰を求めて歩きますよね。

また、これこそ目には見えませんが、木の根っこは本当に偉大です。

樹木の根茎は、土壌、そしてその中にいる菌を捕まえて成長することで、その大地を強く安定させてゆきます。
地上部が折れたり切られても、樹木によっては最萌芽し、土地を支える根茎はそのままに、環境が再生されていきます。
そして、その樹木が枯れてしまっても、朽ちてゆく過程で、土の中に豊かな微生物環境、通気性が生まれ、次世代の樹木が成長するための最高のゆりかごになります。
これらの働きは、どれほど科学が発達しても、木の根によってしかできないものでしょう。

なればこそ、先人たちは、山を守り、家の周囲や通行路沿いに木を植えたものです。
ですが、それではただ木を増やせばいいかということではありません。
単一な地形や樹種のみによる効率最優先の植林では、今回の台風で多く倒木した人工林のような、強風や病気に弱い不健康な森になってしまいます。

その環境にあった地形を築き、樹種、根の多様性を見て植樹法を工夫することで、様々な生物環境も生まれ、健全な森林を育むことができます。
そのような森林は、膨大な雨水によっても、表土を流亡させることなくその土地で吸収して水を浄化し、清廉な水を河に還します。
健全かつ多様な生物環境を持つ森林が減少してゆけば、河川の洪水や土砂崩れなどの災害は増加する一方でしょう。

その土地に根差した持続性の高い暮らしというものは、その言葉通り、木々との共生なくしてはあり得ないのです。

この台風を機に、木を暮らしから益々遠ざけるのではなく、そこに暮らす人々も木々もお互いが健やかに暮らせるような住環境づくりが重視されてほしいと、強く強く願います。




弊社高田造園及びNPO法人地球守では、台風直後から支援物資の配達や伐採、屋根の応急補修の復興活動を行っています。

NPO法人地球守に復興活動支援活動費や物資を寄付してくださった方々
遠方からご協力頂いた造園の同志の方々
現地で快くご案内してくれたボランティアの方々
現状にご理解頂き造園工事をお待ち頂いているお客様

この場で私からもお礼を言わせていただければと思います。
皆様のお陰で私達も復興支援活動をすることができています。

私たちはこれからも継続的に復興を支援する活動を行っていきたいと思っています。
直接的な復興作業ももちろんですが、長期的な目線で、これから未来のためによりよい復興がなされるよう、
日本の自然環境と人々の暮らしを繋げてきた先人の智慧を発信してゆくような活動も、弊社の重要な役割かと思っています。



皆様の日々が健やかでありますように願って、今回の投稿を終わらせていただきます。








(文中に写真を挟めませんでしたので以下に最近の写真を一部添付します)


苗から育てた会社の木立はこの台風でもびくともせず。
私が入社から4年半で、大きさは三倍ほどになりました。


台風通過から6日後、富浦にて屋根応急補修のボランティアへ。


遠方にもかかわらず、高所作業用ゴンドラ、ブルーシートなどを用意してボランティアに協力してくださった、
福島の創苑代表の新さん、埼玉は中央園芸代表の押田さん。本当にありがとうございました。



富浦で活動から五日後、館山での補修へ。
屋根の上から見渡すとブルーシートのかかっていない屋根が珍しいくらいです。


そんな中、湾岸の方位に屋敷林を残しているこの平屋の古屋は、屋根の損害は見られませんでした。
わずかなスペースでも、この木々がどれだけの風を和らげてくれたのでしょうか。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

2019年4月30日 火曜日

気淑く風和ぐ晴天に

スタッフブログをご覧いただいている皆様、ご無沙汰しております。高田造園の石井です!

毎日の日差しを浴びて、植物たちが芽を吹かせ、緑を広げるこの時期・・
ぷっくりと膨らんだ冬芽が、待ち侘びた毎日の陽気に著しく成長してのびのびと花や葉を広げていくさまはもはや神々しく、植物に携わる職業の私達にとっては、植物たちから最も元気をもらえる時期といってもよいでしょう!自然と気持ちも高揚します!
そうです、今回は、もっとも生命力に身を輝かせるこの時期の草木たちについて、お話ししたいと思います!



身近な木々たちを改めて眺めたいと思い、休日にカメラを持って事務所へ。誰もいない昼の事務所はなかなかに新鮮です。
ほぼ毎日来てはいるものの、こうしてゆっくりじっくり、近くから遠くから植物たちを観察すると、仕事に追われ心身が忙しない時には気づくことのできない植物の姿を見、想いを馳せることができます。



事務所のお庭へ。庭門を一歩くぐるといきなり雑木林に足を踏み入れたかのよう。
ゆらゆら揺れる木漏れ日に照らされた草木たちが美しいです。



いつもお庭を見守ってくれているお地蔵さんも、心なしかいつもよりほくほくとした表情をしているような。



野点もできるようにと配された四阿。少し背伸びして屋根をみると・・



こんなところにきれいな苔が!この苔にとっては落ち葉降り積もる林床より多孔質の屋根材の上のほうが居心地がよかったのかもしれませんね。



クヌギの花柄や小枝の下から、苔も可愛い新芽を懸命に伸ばしています。



用事もないのに事務所に入って、窓から蹲踞を見ます。一番の特等席ですね。
手入れをほとんどしないためどんどん逞しくなった貫禄のあるクヌギの幹と、縫うように光を求めてさらりと横に流れるモミジの枝ぶりが相まって絶妙の景色。



お庭を出て、駐車場を挟んで向かい、僕が高田造園に来てから二年間住んでいた囲炉裏小屋・・(今は囲炉裏はありませんが・・)
すっかり新緑に抱かれて、吹き抜ける風が心地いいです。



囲炉裏小屋横に置かれたポット苗の、コナラの新芽。私たちが庭づくりで一番使う樹木です。
事務所に根付いている大きな成木のコナラはもう新芽を固まらせつつありますが、ポットに植えたばかりの苗はまだ芽を膨らませるのに必死。
私は、この新芽の出たばかりの時期のコナラの姿が一番愛おしいと感じます!



小さな新芽に広がる銀色のトライコーム(毛)が樹木全体にちりばめられる様相は、神秘的ですらあります。
コナラはほかの落葉樹に比較して若干芽吹きの時期が遅いです。
このふわふわの毛布のような毛に包まれているところから思うに、少し寒がり屋さんなのかもしれませんね。



倉庫横のこの木々たちは、私が入社した四年前は2mから2.5mほどの背丈でした。
サクラ、クヌギ、マテバシイ、シイノキが競い合い守りあい、もう倍以上に伸びている樹木も・・



この時期はコナラ以外でも新芽の観察が面白く、接写ばかりになってしまいますが・・
これは、今にも開きそうなマテバシイの新芽ですね。
若干赤みがかかった逞しいさまは、あれ、どこかで見た食べ物のような・・



こちらもよくお庭造りで使います、マテバシイと同じどんぐりの常緑樹、カシの新芽。
ちっちゃい葉っぱが赤ちゃんのようでほんとにかわいらしいです。
マテバシイやカシ、ベニカナメモチなど、特に常緑樹の新芽は赤いものが多いと感じます。これは、組織が軟弱な新芽を紫外線から守るため、それを吸収するカロチノイドやアントシアンなど赤や黄色、橙を発色する成分が新葉に多く含まれるからなんだそう。
コナラの新芽といい、その場で生きようと生態を適用させてゆく植物たちの進化の過程には、舌を巻きます。



冬芽から新芽が芽吹き、陽気とともに新緑を茂らせるこの時期は、さまざまな植物から生命力を感じられるポジティブな季節です。
田植えやお茶摘みの時期でもあり、農の始まる時期でもありますね。

平成最後の快晴の日に、いつもそばで見守ってくれている樹木たちとゆったり対話する時間を設けられたことは、とてもいいリフレッシュになりました。
皆様がこの投稿をご覧になっているころは、新年号である令和の時代が始まっていることと思います。

植物のみならず、鳥たちや虫たち、春に躍動する生命の息吹を感じながら、一つの節目に気持ちを新たに、また、日々を過ごしていきたいと思います。
それでも日によって寒暖差の激しいこの時期、皆様も令和の最初の連休中に体調を崩さぬようお気を付けください。
それでは。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

2018年5月24日 木曜日

石を畳む



もう真夏並みの気温の日もみえはじめたこの季節、皆様お過ごしでしょうか。従業員の石井です。

またしても前回の更新からだいぶ日が空いてしまいました。

おかげさまで日々環境改善や造園施工で忙しい高田造園の日常ですが、毎年五月の連休は社員それぞれが造園的な感性を養うため連休をいただいております。

そこで私もこの連休を使って、熊野古道伊勢神宮を拝見してきました。

親方が、自然環境への配慮がみえる好例として常々挙げる地であり、かねてより訪れたいなと思っていた場所です。
親方が更新している別サイトのブログでも、過去に詳しく取り上げられています。
(私などとは比較にならない知見と情報量が込められた過去の記事を下記にリンクします。よろしければこちらも是非。
 伊勢神宮について・・http://www.zoukinoniwa.biz/blog/2016/02/post_59.html
 熊野古道について・・http://www.zoukinoniwa.biz/blog/2016/01/28110.html

今回は、そのレポートを写真とともに記していきたいと思います。



日本列島を俯瞰すると、本州の中心あたりから南に張り出すように突き出る巨大な紀伊半島
深い森が海へと突出したこの地には古くから自然信仰の聖地とされる場所が多く、半島全体が巨大なパワースポットといっても過言ではないそうです。

その半島の大部分を占める山地には、熊野三山、高野山、吉野・大峰という全国でも屈指と評価される零場が存在し、その地に至る参詣道こそが熊野古道になります。
古くは平安時代より、皇族や修験者、庶民に至るまでが闊歩したこの道は、奈良、和歌山、三重の三県を跨り、いくつものルートをあわせたその全長は1000kmを超えるほど。


私が訪れましたのは、三重県の「伊勢路」の中でも石畳が美しいといわれる「馬越峠




紀勢自動車道海山ICを降りて道の駅に車を停め、この地区の鎮守の杜である相賀神社に一礼。



奇跡とも称されるのも頷けるほど澄み切った銚子川の清流を眺めながら、便ノ山橋を渡ります。



そこから少し歩いたところに石畳残る入口がありました。すぐそばに国道が通っていますが、これを登って山の中に入れば・・



針葉樹林とシダたちに抱かれた厳かな山道の風景に包まれます。
全国有数の多雨地帯であるこの半島にこそやはり石の山道が必要だったのでしょう。



ひたすらに美しい石畳が続きます。かつてこの石を畳んだ古人の執念すら感じられるような力強い路です。
しかし、その不規則にも見えるこの石段は、平滑な舗装道路よりはるかに歩きやすく感じます。
頭が透き通る、という親方の言葉を身をもって体感できる瞬間です。



石畳の間に入り込み、しかしながら石畳を壊さず、蹴上として機能している根すらあるこの状況こそ、この古道の石畳がこの地に対しての配慮として通期浸透性を担保し続けている何よりの証拠と言えるでしょう。



洗い越しと呼ばれている、山側の水を谷川に流す水路。このエリアだけでもいくつも見かけます。
石畳を設ける際山側を段切りした際に出る水や雨水を処理する工夫と思われます。



途中、石畳の古道を逸れて、天狗倉山の頂上を目指し山路を登ります。
岩盤地帯ゆえか道すがらに巨石も多く、中にはその岩石の隙間に根を差し込むようにしてたくましく育っている樹木も。



岩盤を突き進んでなお肥大させる根っこの力に土地の生命力を感じます。



急坂を這うように上ると、磐座といえるほどの巨石、天狗岩が姿を現します。これを登れば頂上です。





頂上からは、尾鷲湾を見下ろすことのできる絶景を堪能できます。
リアス式海岸とその近くにそびえる山々、そしてそれらをつなぐ清流残る河川が、この地に海、山、川の幸すべてを授けている要因なのでしょう。

下山した後は、また石畳を少し歩けば、尾鷲市街に抜けることができます。

先人たちの執念と環境への配慮に畏敬の念を覚える体験となりました。
皆さんも三重にお越しの際はぜひお立ちよりを検討ください。歴史ある路のエネルギーを体感することができると思います。


真夏日ともいえる日が増えてきた今日、皆様も職種に限らず日焼けと水分補給にお気をつけてお過ごしください。それでは。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

2018年1月23日 火曜日

小寒、大寒、大寒波!

高田造園ブログをご覧の皆さん、大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。従業員の石井です。
新年を迎えまして早三週間、高田造園も日々造園工事や環境改善に邁進しております、本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、まさに二十四節気でいうところの「大寒」の時期にふさわしく、というべきでしょうか・・



このブログを更新することができましたのは、関東全域にも訪れました今冬最大の寒波の仕業にほかなりません。
ここまで積雪してしまった以上、通勤もままならぬため、本日の現場作業は中止となったのでした。

都内の交通利用の多い駅においては入場制限があったとも聞きます、高速道路においては立ち往生も・・
皆様も残雪の影響にお気を付けください。



この積雪でご不便を被った方は雪はもう結構と思われるであろうところ、またも雪つながりで恐縮ですが・・
今回のブログでは、お正月のお休み(「小寒」の時期ですね)に訪れました八ヶ岳は北横岳の紹介をさせていただきます。

八ヶ岳連峰の一つ、北横岳は、正式には横岳といいます。しかしわずか10キロ下の南八ヶ岳に同名の「横岳」があるため、便宜上このように呼ばれることが多いようです。山頂は二峰に分かれていますが北峰の標高が高く2480メートル。

冬山初挑戦の私がこの山を選んだ理由が、この山のお手軽さです。
北横岳にはロープウェイがあり、標高1700メートルほどにある山麓駅から、2200メートルの山頂駅まで10分弱で上がることができ、その後、軽アイゼンのみでも歩ける1時間半ほどのコースタイムのルートを進めば山頂に到達することができます。



名物のキツツキに見送られスタート



頭を出した低木に雪がしがらんで、地形がぽこぽこ。雪原を歩いたり・・



樹林の中に入ったり



少し登るとロープウェイと絶景が!



そしてあっという間に頂上です!見下ろした樹林がまだ雪がまばらで美しいです!



店主の気遣いと料理が素晴らしいとの北横岳ヒュッテ。の横のベンチでお昼



冬山で湯沸かしして食べるカップラーメンと食後のドリップコーヒーは絶品!!




防寒装備や天気には最大限注意したいところですが、冬山が初めての方、お手軽に日帰りなどで雪の山を楽しみたい方にはおすすめの北横岳のご紹介でした。


ふと執筆途中に外を見ると、日なたの雪はすっかりありませんでした。

空気を吸いに家の外を歩いてみると、ひなあられのような蕾をたくさんつけた梅が、雪のヴェールを脱いで、ひなたぼっこ。
その枝先にちらほらと・・



昨日の雪を思わせるような純白の花をつけていました。



今にも開花しそうな真ん丸の蕾から少しのぞいた白い花びらが、たまらなく愛らしいです。

草木の中でいの一番に花をつけるといわれている梅、その移ろうさまは、まさに立春という言葉にふさわしいと感じます。

こうして、三寒四温で暖かい春に向かっていくのでしょう。
皆様も、まだ続く寒さと日中の寒暖差にお気をつけながらお過ごしください。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

2017年12月 3日 日曜日

いくたびも 雪の深さを 尋ねけり

師走に入りいよいよ寒さが本格的な冬の様相を呈している今日このころ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
久々の更新になってしまいました、従業員の石井です。

さて、タイトルにしました冒頭の俳句、文学に精通している方はご存知かもしれませんが、その本歌の解釈とは少々異なった意味で用いらせていただきました。
といいますのも・・



こちらは、磐越道新潟方面途中、福島県の磐梯町にある磐梯山パーキングエリアの様子です。
関東地方在住の身としては考え難い積雪量となっていました・・


そう、高田造園は11月、手入れ行脚前今年度最後の造園工事で、福島県塩川町(会津や喜多方の近くですね)のお宅に訪ねていたのです。


材料を段取る都合で週に一度は千葉に帰るため、11月の後半は、現地の方に電話で積雪量を確認したり天気との闘いになりました。
とはいえ磐梯山のあたりは塩川町に比べ標高が高く現地の人も別世界というほどで、現場の積雪は数センチでしたが・・



さて、11月に入るころはこのような様子でしたが・・



一期工事終了後です。ほぼ同じ角度より。住宅を包み込む、新たな雑木のお庭が誕生しました。



生活同線の合間を縫うように設けられた木立は、施工当初からすでに家屋と馴染むような雰囲気を感じさせます。





主庭全体。既存の松も雑木になじむよう手入れをして、庭に溶け込ませます。

細かい仕上げは来年の春、二期工事で行い、本格的な完成を迎えます。
寒さを気遣っていただき温かいお茶やお茶菓子を出していただいたお施主様、年末の忙しい中ご協力いただいた方々、ありがとうございました。




そして、暮れは手入れ行脚に回ります。写真は施工後十年近くの時間が経過した千葉のお宅の手入れ後の様子です。
やわらかい苔の乗った地表と木々の幹の逞しさ、秋に色づく葉っぱと差し込む日の光がお庭に静謐な空気をもたらしているようです。

手入れのこの時期は、一年に一度か二度しかない、作庭させていただいたお宅に訪ねられる、貴重な時期です。

お施主様のお話や成長した木々の様子を伺えるこの瞬間々々をたいせつにして、残り一か月の今年を過ごしたいと思います。


残り少ない今年の最後に寒さで体調を崩さぬよう、皆様も心身ともに暖かくして毎日をお過ごしください・・
それでは皆さん、よいお年を!

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