top

2021年10月17日 日曜日

ご挨拶

はじめまして、2021年5月より高田造園で働かせていただいています髙嶋伊織と申します。

もうすぐ半年になりますがブログを書かせて頂くことになりました。
高田さんの著書『土中環境』に感銘を受け、実際に高田さんの下で修行させて頂く中で感じたこと等をお伝えさせていただきます。
何から書けばよいのかなかなか筆が進みませんが、今回は施工中の写真が多く残っている川崎市明長寺の雨落ち工事を紹介させていただこうと思います。

私は造園業界に入る以前は建築に携わっておりました。

建物に降ってくる雨水は排水させるという考えが通例となっている中でその考えとは全く逆の、水を捨てるのではなく大地にしみ込ませてその土地を潤わせ、涵養するという仕組みを作らせていただきました。
お寺などで建物に雨樋がなく溝に石を敷き詰めて雨水をはけさせる、という光景は目にしていましたが以前は土中環境の視点がなかったため、その雨水の行先は気にしていませんでした。
今となってはそのお寺の溝の石を剝がしてみて水が排水されているのか、浸透させているのか、がとても気になります(笑)。
そして浸透させていたとしても、その過程は高田造園の自然界への知恵と工夫と愛がつまった方法とはきっと違うのではと思います。

以下、工事の様子を記させていただきます。


まず雨のおちてくるラインに沿って溝を掘ります。





夏の暑い日で、世間ではオリンピックが開催されていました。高田造園では随時、掘リンピックを開催しています。


休みます。





溝の中にさらにダブルスコップで縦穴を掘り、さらにバール等で穴を深くしておきます。






穴に竹炭、もみ殻燻炭を入れそこにぐり石を小端立てに入れて隙間に落ち葉や枝葉を詰めます。







溝の底に竹炭を敷き詰めます。






下地の石として大谷石等を砕いたものを敷き詰め、竹炭、もみ殻燻炭、落ち葉を隙間に詰めます。






仕上げの石として浅間石を敷き詰めます。ここは通路となる予定なので足ざわりを確かめながら並べていきます。





最後の仕上げとして砕石、落ち葉、竹炭、燻炭をさらに撒き、敷き詰めて完成です。






地面を水が通る過程でこの石と落ち葉、炭、燻炭の層の中で微生物や小動物、菌類を育み、それらが生を営む中でその水を浄化します。
水は横にある弁天池に達しその土地で循環し、水と空気の巡りが促され、周りの木々も一体となって健やかな成育をできる気持ちの良い環境だと感じます。





以上、高田造園で行っている造作のほんの一部分ですがとても楽しい工事をさせていただきました。


一見、緑があって豊かな環境だと感じていた場所、あるいは日本という土地はおのずと何かしらの植物が生えてくるので自然が豊かだと自分では思っていました。
しかし、そのように見えていた中にも実際は水と空気の巡りが悪くなっている場所があるということに高田造園で働かせていただく中で気づかせていただきました。


「ただちに影響はありません。」最近時折耳に入るイメージの言葉ですが現代社会の象徴の一つだなあと最近感じています。
現代文明の恩恵を受けて生活している私ですが、一見すると良く見えることでも、あるいは問題がないようにも思えることでも人間にとっては結果と原因を結び付けにくい数年から数十年に渡る長いタイムラグで、
後々に及んでくる影響が取返しのつかないことになりそうなものを私たちは多く抱えているのではないかと思います。
昨今の多発する災害や水害を目にして、その恩恵と引き換えにしたものが、じわりじわりと忍び足で近づいてきている、あるいはすでに地球はこの大地を私たち人間にとってはつらく痛々しい現象で粛々と自らを浄化しはじめているのかとも感じることがあります。

そのような中でも高田造園での日々ではその暴走する社会にブレーキをかけ方向転換をしようとする人々が多く交流し、また自分も実際に現場に立ち、明るい未来につながる今を経験をさせていただき、これからの自分が生きる上での大きな道しるべをいただいております。


自分は磐座を見ることが趣味の一つで神社、仏閣や山等に出かけたり、調べたりするのですがその中で時折、目にする話で思うことがありました。
空海が杖を一突きすると水が湧いてくる、といったような話は少し誇張はされているかもしれないが実際に風水を読める優れた人がそのような場所を示していたのではないか、また、昔の僧侶が暴れる龍を治めたというような話は僧が、治水工事をして土地を人が住みやすいようにしたということが時の経過と人々の言い伝えのなかで変化したものなのかなと、現場で大穴を掘って池を湧き出させたり、地形を読み取りその土地にとってやるべきことの指示を繰り出す高田さんには、そのような古の僧の姿が生き生きと甦ってくるような感覚をいただいています。



話は少しそれましたが、ありがたい貴重な日々をいただいている高田親方はじめ、お世話になっている関係する方々に改めてこの場を借りて感謝を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
未だ気付かないことや見えていないことが多く、未熟な私ですがこれからも高田造園での一日一日を大事に少しずつでも成長し精進していきたいと思います。よろしくお願いいたします。















記事URL

2021年4月 1日 木曜日

今までお世話になりました

みなさまこんにちは。

スタッフの松下です。

今回の投稿が、高田造園設計事務所での最後の仕事になります。


私事ですが、この度4年間勤めさせてもらった高田造園設計事務所を退職し、独立しました。

この場を借りて、私ごとを書かせていただける機会をいただけたことを感謝申し上げます。

私は4年前の2017年に入社し、今年まで4年間お世話になりました。

それまではごく一般的なやり方の造園業として8年、別の会社に勤務しました。

その8年の中で私は、「これからの雑木の庭」という雑誌で親方を知り、庭空間の写真を拝見し、その庭の空間構成に惹かれ、自分は将来このような空間を作れる造園家になりたいと思い、弟子入りしました。

親方の空間作りが好きで入らせてもらいましたが、入社してからは環境改善を交えた仕事、そのような現場に身を置いて作業を行い、その作業前後の様子を体感することで、樹木の配置などの空間構成にもまして大切なことに気づかせてもらいました。

私は独立したら、自分が手掛けていく空間は、そこに身を置く人にとって心から気持ちの良い、居心地が良いと感じてもらえる、そんな空間にしていきたいと思っていました。

今までは、それは木の配置であったり、石の配置であったり、陽の当たり方であったり、視覚から感じとれるもの、見た目から感じるものによって、決まっていくものだと思っていました。

ですが、高田造園で日々現場で体感を重ねると、その場に身を置くことで感じられる感覚的な気持ちの良さ、悪さの存在に気付くようになりました。

感覚的な心地良さ・悪さというのは、その場に身を置いていると、私達の視覚・嗅覚・触覚・聴覚・味覚が無意識に感じ取って、判断しているその空間から受ける印象です。

人は、その五感から受ける無意識の印象を総合して、その場を心地よい、悪いと判断しています。

鳥のさえずり、川の流れる音、虫の声、陽の光、葉の揺れる音、草の匂い、土のにおい、花の香り、落ち葉を踏みしめる音、花が舞い散る様。

このような自然からダイレクトに受けるメッセージのほか、

そこにいるとなんか暖かくてほっとする、

風が通り抜けると爽やかで気持ちが良い、

深呼吸すると空気が美味しい、

その場にいるとなんかワクワクする、

はぁと思わず声が漏れそうになる、

その土地がなんかしっとりと感じる。

「そんな時は大地が呼吸していて、植物・樹木・小動物・虫・菌類・微生物たちの生命の躍動を感じる。」

また逆に、

何となくこの場所にいると不快だ。

なんか嫌な感じがする。

なんか蒸し暑い。

ムッとする。

変な汗が出てくる。

乾いた感じがする。

荒れ地の感じがする。

地面がじゅくじゅくしている。

地面が底冷えしている。

など、

「そんな時は大地が詰まっていて、呼吸できないで喘いでいる。

苦しんでいる。

生命の躍動がほとんど感じ取れない。」


いつしか私もその空間に身を置くことで、そんな風に感じるようになりました。

環境改善の仕事を通して、その土地の呼吸を取り戻してやること。

つまり、その土地の、土中の水と空気の流れの滞り・詰まりを取り除いてやること。

様々な生命が育まれ、躍動し始める土台を取り戻してやること。


大地が呼吸し、すべての生命の躍動を感じ取れることが、詰まる所、人が無意識に感じている心地よさの源なので、今後はそれを自分の造園の核として取り組んでいこうと思う次第です。


風土工学の提唱者・佐佐木綱氏の景観十年風景百年風土千年―21世紀に遺す という著書のタイトルである、

 「 景観十年、 風景百年、 風土千年 」 という言葉があります。


著書を引用しますと、

〝「景観が損なわれる」という言葉を耳にすることが多いが、景観とは壊されるもので十年間以上は定着しないもの。
そして、壊されずに残るものが風景といえ、さらに、評価が定着すると風土になるという意味である。

どこの地域でも新しい景観を造れば最初を良いなぁと思われるだろうが、その地域の個性というものを把握し、その個性に適した景観でないかぎり、その景観は色褪せてきて風景として後世に残ることは不可能だろう。百年残ってはじめて風景としての独自性を有することになるであろう。
風土が形成されるためには、風景よりも長い千年近くの年月を要するだろう。何世代にもわたる住民たちの祈り、思い入れ、願いといったものが蓄積されなければならない。″

景観は、今現在の私達の暮らしを反映するが、いずれ壊れゆくもの。

風景は、過去から今現在にかけての歳月を経て、その地域の独自性を帯びて、景色として定着したもの。

風土は、その土地の時間軸の中に、そこで生活を営む人々の歴史、文化が蓄積され、その心を読み取れるもの。

私達の日々の生活の営みが、いつしか時を経て、風土となり、そしてその土地に息づくことを考えながら、後世へと「景観」を「風景」として繋ぎ、育んでいかなくてはいけません。

そのためには単なる人間としてではなく、同じ大地の上で生きる全ての生き物の一つとして、生命の躍動に共奏していかなくてはいけません。

この地球に生きる造園家として、大地が息づき、生命のリズムが脈動する環境を作り出せるよう、更にはそれが私たち人間が感じる心地よさに繋がって、風景として残されていきますよう、精進していきたいと思います。

在籍中にお世話になったすべての方々に感謝、御礼申し上げて、これで最後とさせていただきます。

今まで本当にありがとうございました。


松下 智宏

記事URL

2021年1月31日 日曜日

現在進行中の高田荘の環境改善の様子

スタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
ご無沙汰しております、スタッフの松下です。

まだまだ寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
季節としては梅の花もほころび始め、春の兆しもうっすらと感じ取れる時季となりました。

こちらは今建築中の高田荘周りの植栽の様子です。




建築周辺の石場建て基礎、竹小舞下地・土壁施工はワークショップにて皆様と一緒に作業させていただいていますので、今回の投稿では割愛させていただきまして、それ以外でスタッフで進めている小仕事の様子を書かせていただきたいと思います。

この建物横の植栽は建前のワークショップ後の、昨年末に植えられたものです。

こちらも単純に木が植えられているわけではありません。



この土地の下部はこのようにコンクリート擁壁で土留してあるため、この土中の水が集まってくる土地の下流部のキワを堰き止めてしまうことにより、この土地全体の水と空気の流れが滞ってしまいます。

コンクリート擁壁を取り払って、石の空積みなどに施工し直すのがベストかもしれませんが、コンクリート擁壁なので容易くは取ることができません。

ですので今回はこの擁壁ありきでも、土地の水と空気が滞らずに
流れるように造作を施しました。

施工時に写真を撮り忘れてしまい、文章だけでイメージしづらく申し訳ありませんが、まず、木を植える前に、コンクリート擁壁際を深く溝掘りします。

そしてその溝の中には点々とダブルスコップで穴を掘ります。

その穴の底部はこのコンクリート擁壁の根元の立ち上がりよりも少し深いくらいです。

こうすることでコンクリート擁壁の根元よりも深い位置まで水と空気を送り込み、浸透させることでその下に水みちができるようにします。

また穴や溝を掘ることだけでも、その切り落とされた断面からは水や空気が抜けて、さらに集まってきます。

そうすることで、その穴や溝周りの水と空気・ガスを動かすという仕組みです。

少し暖かくなってきた時期に、少し深い穴を掘ると実感しやすいのですが、しばらくするとその穴の付近に小虫が涌いてきます。

これは穴を掘ったことによりその断面から土中の空気・ガスが抜け、
それに群がってくるのではないかと思います。


そこに竹炭を入れ、節を抜いて側面を割った竹筒を突っ込み、通気孔とします。

その周りに枝葉を縦に絡ませながら差し込みます。


こちらは別の現場で3年前に縦穴施工をし、今年になって再度その付近を掘削することがあったので、断面が露わになった縦穴の様子です。



掘削作業に伴って、竹筒は取り外されて少し分かりづらいですが、
樹木が水や養分を吸うための細根が土中深くまで誘導されていることが確認できます。

空気と土から出る適度な湿気がある状況下に枝葉を詰めることで、微生物により枝葉が分解される過程で、縦穴の深い位置までその菌糸が誘導されていきます。

その後を追うように樹木の細根が伸びていきます。


そして縦穴に枝が詰まったら、溝の縦穴と縦穴の間にもカナデコバールサイズの穴を点々と開け、ワラや枝などの有機物を差し溝底全体としても浸透しやすいようにしました。

そのひと手間を加えた上で溝に竹炭を敷き、薪になるぐらいの太い枝や様々な枝葉を絡ませながら差し入れていきます。

その溝処理を終えた状態がこのような側面です。



溝の枝葉は上の写真のように土がこぼれない高さまで少し立ち上げて土留としています。

この手前ももともとはブロック擁壁があったのですが、こちらは重機で取り払い、こちらからも土中の詰まりを取るためにやり替えます。

手前に見えている部分と、その反対側の溝の奥の部分は、溝の中の縦穴よりも深く穴を掘ることでこの敷地の土中の水が両側に向かって動き、ハケていくようにしています。



そして今回は、この溝部分はコンクリート擁壁ありきでやっていますので、溝の中に縦穴を掘っている部分には、擁壁の反対側からこのようにコアドリルを使い、穴を開けました。

これはただの排水という意味ではなく、縦穴を掘った底付近から外へ空気が流れるようにすることで、溝全体の中にも空気の流れが起こるようになり、それにより土中の水と空気を引っ張ってきやすくしたり、微生物の活動を活発にするためです。

今後このように植えられた木々の根が、地下深くまで伸びて健全に育つことで、樹木根によってこの土地の水と空気を地下から引っ張り上げ調整してくれることで、人にとっても居心地の良い環境になってくれることを期待します。



そしてこちらは先日の竹小舞・土壁ワークショップの後に行いました小屋上部の様子です。

段々畑になるという構想の元、造成が行われています。

もともとは昔の庭園によくあるツゲやマキなどの刈込樹形の木々があった土地です。

そこを一度伐採、抜根し、枝葉や根株は再利用するので取っておきます。

そしてなだらかな斜面をトラバースするように重機で道をつけていき、斜面上から造成していっています。



これは上部の斜面を段状に造成するために行った石積みです。

石積みというと語弊があり、正確には解体したブロックガラ積みです。

一見そうは見えませんが、先ほどの手前のブロック積みを解体した時に出たブロックの破片と、基礎のコンクリート片を積んだものです。

こちらも空積みですので、この背面にはブロックガラをハンマーで割って裏込め石として使いやすくしてから使用しています。

さらにその背面にも樹木根が絡んで将来的には木々の根っこでも支えてもらえるように裏込めガラの間にも、ワラや落ち葉などの有機物をすき間に詰めながら施工しています。

またそこそこの重量を下の土が支えることになりますので、下地には焼いた炭化杭を打ち込むことで重量が分散するのと、その杭が朽ちていく過程ですき間から水が浸み込むようになり、さらには菌糸を杭に纏わりつかすことで後追いで樹木根を誘導することを狙います。



こちらも別現場で1年ほど前に石積みの下に打ち込んだ炭化杭を掘り起こした際の写真ですが、打ち込んだ炭化杭に菌糸と樹木根が付着している様子です。

もう数カ月もすれば木々の根が密に絡んでいる状態になっていたかもしれません。



そして別の個所では、半円状の段々地形に造成して畑にしていきます。

これはそのための下地の溝処理の様子です。

ここには伐採時に出た枝葉を使って枝しがら壁が立ち上がる予定です。

そこも、その際の水の浸み込みや土中の空気の流れが要ですので、その際にちゃんと浸透していくように溝処理を行っています。



施工の要領は上記に書かせていただきましたコンクリート擁壁際のやり方と同じで溝を掘り、点々とその中に縦穴を掘って、さらにはその穴の間の溝部分には小さい穴を開け、先ほどの伐採枝を使って枝を絡ませ処理します。



完成するとこのような感じになりました。



半円、半円で段々畑が下りてくるイメージですね。

将来的にはこの枝葉は分解されてなくなりますが、畑の肩部分に植えられた木々の根がこの枝しがらと土の間に根を張り巡らし、根っこの力で土手を保護するようになります。

今回の施工はここまでですので、今後またここがどうなるかはまた高田荘でのワークショップのときにご覧になってください。

それではまだまだ寒い日が続きますが、体調にはくれぐれも気を付けてお過ごしください。

記事URL

2020年11月22日 日曜日

いすみ竹炭研究会さんの月例イベント

はじめまして。新入社員の大平と申します。
入社2か月足らずではありますが、これから時よりブログを書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

先日、高田造園が日ごろより大変お世話になっているいすみ竹炭研究会さんの月例イベントに参加してまいりました。

高田造園では、ほぼ毎日竹炭を使用します。荒れた土地に撒いたり、実生のベッドに使ったり...竹炭の複雑な多孔質構造が、いきものたちの営みを支えてくれるからです(詳しくは地球守Youtubeチャンネルなどをご参照くださいませ)。
特にいすみ竹炭研究会さんが作る竹炭は、柔らかくて土地に馴染みやすいです。しかも、常に一定の品質が保たれています。
そして何より、日々竹と向き合われているメンバーさん達の愛情と熱意がたっぷりです。
そのようなわけで、高田造園ではいすみ竹炭研究会さんの竹炭を愛用させていただいております。

今回参加したイベントではそんな竹炭のあれやこれやを、やはり愛情と熱意たっぷりに教えていただきました。
いすみ竹炭研究会さんは、ただ竹炭を作ることを目的に活動しているのではありません。竹林に入り、竹炭を作り、竹炭をいろいろな人に使ってもらい、また竹林に入る...その循環のなかで、目的を達成されています。
その素晴らしさや意義は、とても私の言葉では表現しきれません。いすみ竹炭研究会さんに直接お伺いいただけると幸いです。
https://www.isumitikutan.org/



竹を燃やす。自分も燃えているのではと錯覚するほどの熱さです。





消火のため水を浴びた竹炭はとても美しく、メンバーさんのお言葉を借りると「ブラックダイヤモンド」です。



2年ほど前に、高田造園らが整備に協力した竹林です。竹本来の、凛とした佇まいを感じます。一見では分かりづらいですが、大地の呼吸(空気と水の流れ)を保つための造作が随所になされています。
大地の呼吸が健全な場所では、竹は暴れないようです。



造作跡には、実生がたくさん。入社してまもない私にとって、普段高田造園で行っている造作の意味を実感する良い機会になりました。



こちらは未整備の竹林。先ほどの写真に写っていた場所も、このようだったそうです。


**********************************

私は入社前、大学院で土と植物の関係を研究していました。
父の影響で自然が好きになり、好きなもののことを知りたい一心で自然科学の研究者を目指していました。しかし研究対象として自然に向き合うほどに、その複雑さに直面し、
「自分が頭で考えて切り取ったデータは、ほんの一面でしかない」ことを思い知らされました。
考えるほどに真実から離れるように感じ、周囲からどんなに励まされても、私は自分のデータで論文を書くことができませんでした。
研究では自然を理解することができない(私の場合はでして、研究で自然を読み解くことのできる素晴らしい方々はたくさんいます)と気が付き、別の道を探していたときに高田造園に出会いました。
そして業務を通して、自然を体感し、慈しみ、楽しむ、たくさんの方々に出会えました。


「竹林整備は大変だけど楽しいから、毎日明日が楽しみなんだ」
いすみ竹炭研究会発起人・西澤さんのお言葉です。

このような明るい皆様に囲まれ、共に自然に向き合える日々に感謝しております。
至らぬ点も多々あるかと思いますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

大平

記事URL

2020年6月19日 金曜日

ご挨拶


はじめまして、4月から高田造園に入社しました古村と申します。
入社して、まだ2ヶ月足らずではありますが、これからは、自分も定期的に高田造園での学び、発見、日常をブログを通してお伝えしていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願いいたします。



高田造園に入社して、まだ2ヶ月しかたっていないのですが、
あっという間の2ヶ月であり、非常に濃厚な時間を過ごさせていただいています。


自分は、高田造園に来る前は、関西の造園会社で働いておりました。
そこで造園業のやりがいを教えていただき、面白さを実感する機会がありました。


しかし、仕事を続けていくうちに、ジレンマを感じることも多くなっていました。

自分は、「都市に、住環境に自然を、緑を感じられるようにすること」に意義、素晴らしさを感じて、この仕事を始めました。

しかし、仕事を続けていく中で、果たして自分は、自然というもの、樹木、植物というものをそもそも理解しているのだろうか。
自然の摂理、生態系、自然の力、樹木の力というものを理解して、そこに畏敬の念を持てているのか。
そもそも、その環境や土地が弱っていたり、傷んでいることを気づけているのか。

それらのことに気づくことや説明することができない自分に矛盾を感じ始めていたときに、
高田親方の書籍や、文章に出会いました。

あたかも森の中にいるかのような、生命力豊かな樹木が茂る、表面に見える庭と言う空間の美しさ、豊かさはもちろんのこと、
それ以上に、眼に見えない、土中環境などの、その土地そのものの環境、地形、生態系、空気までを考慮し、環境を改善して行く考えに、
多くの発見とともに、強い感銘を抱き、高田親方のもとで、自然の摂理、自然の力を学び、それらの力を人間も共生という適切な形で享受し、それらを後世へと持続可能な形でつなげていくことができるようになりたいと思い、入社を希望しました。







入社してから、
自然の摂理、循環というものを常に考えさせられる毎日を送っています。

「循環」

「土に還る」

「土地の呼吸」

「先人の知恵、先人の偉大さ」

今まで全く意識できていなかった、矛盾なき本質的な自然の循環というものに、
理解はあまりに不十分ですが、意識だけは強く向くように変わってきていると感じます。

それによって、
日常の景色が全く違うものに変わってきています。

樹木による涼しさ、空気の違い、生きものの鳴き声、風の流れ、せせらぎの音

ふとした時に、そこに意識、視線が向いていることに気づきます。

地形への意識、地形の高低差、勾配、空気の淀みや綺麗さ。
今まで感じ取れなかったことに気付く瞬間が、僅かですが、確かに増えています。

目に見えるものはもちろんのこと、微生物などを含めた目に見えないもの、
様々な音、声、香り、感触を通じて、繊細な機微を感じとることの重要性、素晴らしさ。
まだまだ、そうした繊細な機微を感じ取ることは、あまりに不十分でありますが、
それらを敏感に感じとることができるよう、意識を研ぎ澄ましていきたいと強く思う毎日です。









高田造園において、現場で発生する物は、基本的には、その土地に還るように、その現場での貴重な資材として全て活用していくことが基本的な考え方であります。
今までゴミとして捉えられていた、剪定枝などが、すべて横溝、縦穴に活用され、土に還ることは、今までのブログでもたくさん触れられていますが、
改めて、この仕事は「循環」という考え方が根底にあることを強く実感します。



駐車場造成工の一部です。






駐車場も固めて造成するのではなく、横溝、縦穴を張り巡らせ、土地が健全に呼吸しながら、安定していく駐車場として永続していきます。





石積み工

石積みの隙間には有機物として炭、薫炭、わらを敷き詰め、分解の過程、菌糸を誘引し、樹木根を導き、安定させていきます。


石積のみで土地を安定させるのではなく、菌糸、樹木の力で安定、永続へと導きます。
そこには自然本来の作用を、畏敬の念を持って活かし合う先人の心が見えてきます。








瑞々しい新緑の輝きから、春の気配を感じていたのも束の間、
猛暑日のような暑さが既に到来している今日この頃ですが、
水分補給なども含めまして、体調管理を徹底して、
日々五感を働かせ、学び、気付き、成長していけるよう、日々を大切に過ごしていきます。
今後ともよろしくお願いいたします。




記事URL

カレンダー

2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31