松下

2021年1月31日 日曜日

現在進行中の高田荘の環境改善の様子

スタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
ご無沙汰しております、スタッフの松下です。

まだまだ寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
季節としては梅の花もほころび始め、春の兆しもうっすらと感じ取れる時季となりました。

こちらは今建築中の高田荘周りの植栽の様子です。




建築周辺の石場建て基礎、竹小舞下地・土壁施工はワークショップにて皆様と一緒に作業させていただいていますので、今回の投稿では割愛させていただきまして、それ以外でスタッフで進めている小仕事の様子を書かせていただきたいと思います。

この建物横の植栽は建前のワークショップ後の、昨年末に植えられたものです。

こちらも単純に木が植えられているわけではありません。



この土地の下部はこのようにコンクリート擁壁で土留してあるため、この土中の水が集まってくる土地の下流部のキワを堰き止めてしまうことにより、この土地全体の水と空気の流れが滞ってしまいます。

コンクリート擁壁を取り払って、石の空積みなどに施工し直すのがベストかもしれませんが、コンクリート擁壁なので容易くは取ることができません。

ですので今回はこの擁壁ありきでも、土地の水と空気が滞らずに
流れるように造作を施しました。

施工時に写真を撮り忘れてしまい、文章だけでイメージしづらく申し訳ありませんが、まず、木を植える前に、コンクリート擁壁際を深く溝掘りします。

そしてその溝の中には点々とダブルスコップで穴を掘ります。

その穴の底部はこのコンクリート擁壁の根元の立ち上がりよりも少し深いくらいです。

こうすることでコンクリート擁壁の根元よりも深い位置まで水と空気を送り込み、浸透させることでその下に水みちができるようにします。

また穴や溝を掘ることだけでも、その切り落とされた断面からは水や空気が抜けて、さらに集まってきます。

そうすることで、その穴や溝周りの水と空気・ガスを動かすという仕組みです。

少し暖かくなってきた時期に、少し深い穴を掘ると実感しやすいのですが、しばらくするとその穴の付近に小虫が涌いてきます。

これは穴を掘ったことによりその断面から土中の空気・ガスが抜け、
それに群がってくるのではないかと思います。


そこに竹炭を入れ、節を抜いて側面を割った竹筒を突っ込み、通気孔とします。

その周りに枝葉を縦に絡ませながら差し込みます。


こちらは別の現場で3年前に縦穴施工をし、今年になって再度その付近を掘削することがあったので、断面が露わになった縦穴の様子です。



掘削作業に伴って、竹筒は取り外されて少し分かりづらいですが、
樹木が水や養分を吸うための細根が土中深くまで誘導されていることが確認できます。

空気と土から出る適度な湿気がある状況下に枝葉を詰めることで、微生物により枝葉が分解される過程で、縦穴の深い位置までその菌糸が誘導されていきます。

その後を追うように樹木の細根が伸びていきます。


そして縦穴に枝が詰まったら、溝の縦穴と縦穴の間にもカナデコバールサイズの穴を点々と開け、ワラや枝などの有機物を差し溝底全体としても浸透しやすいようにしました。

そのひと手間を加えた上で溝に竹炭を敷き、薪になるぐらいの太い枝や様々な枝葉を絡ませながら差し入れていきます。

その溝処理を終えた状態がこのような側面です。



溝の枝葉は上の写真のように土がこぼれない高さまで少し立ち上げて土留としています。

この手前ももともとはブロック擁壁があったのですが、こちらは重機で取り払い、こちらからも土中の詰まりを取るためにやり替えます。

手前に見えている部分と、その反対側の溝の奥の部分は、溝の中の縦穴よりも深く穴を掘ることでこの敷地の土中の水が両側に向かって動き、ハケていくようにしています。



そして今回は、この溝部分はコンクリート擁壁ありきでやっていますので、溝の中に縦穴を掘っている部分には、擁壁の反対側からこのようにコアドリルを使い、穴を開けました。

これはただの排水という意味ではなく、縦穴を掘った底付近から外へ空気が流れるようにすることで、溝全体の中にも空気の流れが起こるようになり、それにより土中の水と空気を引っ張ってきやすくしたり、微生物の活動を活発にするためです。

今後このように植えられた木々の根が、地下深くまで伸びて健全に育つことで、樹木根によってこの土地の水と空気を地下から引っ張り上げ調整してくれることで、人にとっても居心地の良い環境になってくれることを期待します。



そしてこちらは先日の竹小舞・土壁ワークショップの後に行いました小屋上部の様子です。

段々畑になるという構想の元、造成が行われています。

もともとは昔の庭園によくあるツゲやマキなどの刈込樹形の木々があった土地です。

そこを一度伐採、抜根し、枝葉や根株は再利用するので取っておきます。

そしてなだらかな斜面をトラバースするように重機で道をつけていき、斜面上から造成していっています。



これは上部の斜面を段状に造成するために行った石積みです。

石積みというと語弊があり、正確には解体したブロックガラ積みです。

一見そうは見えませんが、先ほどの手前のブロック積みを解体した時に出たブロックの破片と、基礎のコンクリート片を積んだものです。

こちらも空積みですので、この背面にはブロックガラをハンマーで割って裏込め石として使いやすくしてから使用しています。

さらにその背面にも樹木根が絡んで将来的には木々の根っこでも支えてもらえるように裏込めガラの間にも、ワラや落ち葉などの有機物をすき間に詰めながら施工しています。

またそこそこの重量を下の土が支えることになりますので、下地には焼いた炭化杭を打ち込むことで重量が分散するのと、その杭が朽ちていく過程ですき間から水が浸み込むようになり、さらには菌糸を杭に纏わりつかすことで後追いで樹木根を誘導することを狙います。



こちらも別現場で1年ほど前に石積みの下に打ち込んだ炭化杭を掘り起こした際の写真ですが、打ち込んだ炭化杭に菌糸と樹木根が付着している様子です。

もう数カ月もすれば木々の根が密に絡んでいる状態になっていたかもしれません。



そして別の個所では、半円状の段々地形に造成して畑にしていきます。

これはそのための下地の溝処理の様子です。

ここには伐採時に出た枝葉を使って枝しがら壁が立ち上がる予定です。

そこも、その際の水の浸み込みや土中の空気の流れが要ですので、その際にちゃんと浸透していくように溝処理を行っています。



施工の要領は上記に書かせていただきましたコンクリート擁壁際のやり方と同じで溝を掘り、点々とその中に縦穴を掘って、さらにはその穴の間の溝部分には小さい穴を開け、先ほどの伐採枝を使って枝を絡ませ処理します。



完成するとこのような感じになりました。



半円、半円で段々畑が下りてくるイメージですね。

将来的にはこの枝葉は分解されてなくなりますが、畑の肩部分に植えられた木々の根がこの枝しがらと土の間に根を張り巡らし、根っこの力で土手を保護するようになります。

今回の施工はここまでですので、今後またここがどうなるかはまた高田荘でのワークショップのときにご覧になってください。

それではまだまだ寒い日が続きますが、体調にはくれぐれも気を付けてお過ごしください。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | 記事URL

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