竹内

2014年12月14日 日曜日

冬の手入れ行脚

目が覚めるほどの朝の冷え込み、吐く息は真っ白です。
高田造園もこの時期は冬の手入れにあちこちへ走ります
「おはようございます!」久々のお客様との挨拶。仕事前の心温まるひと時です

主木の状態や、地表の乾燥、下草・低木の生育状態...
庭の状態にじっくりと目をやります



作庭後8年のお庭の地表です。ゼニゴケの乗る箇所は土中の水の循環がうまく行われていないところです



地苔が乗った地表は土中の水循環が良好な証拠です
地面一杯に樹木の根が張り。木々の力による土中環境改善が行なわれています

(昔作った親方の分析は実に的確です...)
植栽方法と樹種の選択、そして土中の水脈・気脈。木々の健康な生育には欠かせない要素が
今年に入りより明確になりました

自身が作りながら、自身で分析し、改善してゆく。(やはり親方はすごいなあと思う瞬間です)




手入れ後のお庭はスッキリと気持ちが良いです
気持ちよく新年を迎えられますように...



8年前、7年前に施工したお庭、今と植栽の仕方は違いますが、施工していた時のことはやはり今でも覚えています
入ったばかりの頃の施工ではただ無我夢中で作業し、木が入るたびに変わりゆく景色に目が潤んでいました
あの時の細かった木も幹がすっかり太くなり驚きと感動を与えてくれます

この仕事を始めたとき誰かの幸せを心から願えるようになりたいと、そんな気持ちを抱いていていました
年末、忙しいこの時期。その気持ちも忘れてしまいそうになりますが、今一度原点に返り、1つ1つに心を込めたいです





そして近況報告です。年末師走の中、土気山に小屋が建ちました!
もちろん材料は古民家を解体して出た材を再利用します。計画当初は倉庫の予定だったのですが
倉庫にしておいたらもったいない!!
入居希望者(従業員)も数名いたことから、宿泊可能な小屋に変更になりました








建具も並び、ますます楽しみになります
(ころころ変わる予定に棟梁も苦笑い、でもさすが臨機応変にやってのけてくれます。棟梁ありがとうです)

着々と進む小屋作り、ご報告できればと思います。












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2014年10月20日 月曜日

高津戸ダーチャ進行状況

あれよあれよという間に、すっかり秋も深まってまいりました
今年、事務所の柿はいつにも増したくさんの実をたわわにつけ,
冬になる前の景色に賑わいをもたらせています
(柿渋のにおいを思い出します)

高津戸ダーチャ設計計画が始まり1か月がたちました

山のどこに小屋を建てるのか、自然農畑の配置拡張計画、林内の散策路、小屋の材料、構造、暖房、お風呂、トイレ、、、近頃頭に浮かべる事といえば『ダーチャ』
まさに、ダーチャと共に日々過ごしているような(もちろん他の事もやっているのですが、なんとなく考えてしまう)

笠森観音に行き構造を学んで、北海道のチセから寒さをしのぐ地熱利用を知り、山小屋生活の本を読み漁り、やりたい事のイメージがかたまり、鉛筆を走らせます


高津戸ダーチャ地図



赤い屋根が計画中の山小屋



敷地は急な下り斜面、もとの地形を壊さぬように基礎は独立にたてます
土地を造成することはその場の環境を変え、そこに住む生き物たちの棲み処を奪うこと
自然の中では私たち(人)の方が新参者、木々や周りの生き物たちに遠慮しなくては、、



木造の小屋は朽ちた時に自然に土に帰ります
骨組みとなる構造体は古民家解体の時にでた材料の再利用です

"あるものを使う"
立派な材料をわざわざ買うことはしません
ある材料をうまく使っていきます
使い古された材料は何にも変えがたい風格があります
昔の古民家の材料はどれもしっかりしています、磨けば光り、まだまだ何十年も使えそうなものばかりです
家を何代も住み継ごうという強い意志が木材から伝わってきます



周囲の緑と調和するように。
お風呂はドラム缶?五右衛門風呂?
自分たちで薪に火をつけお湯を沸かします
お風呂の水を沸かすにはどれだけかかるだろうか



立面図



暖房は薪ストーブ
(オンドルやペチカ世界の暖房設備はすごい)
土間が板張りのため薪ストーブの煙突の熱に頼ることにしました



内観イメージ
これから本棚やテーブル、使いながら育ててゆきます



奥の部屋は女性も一緒に泊まれるよう仕切りを設けます
仕切りを取り払えば一部屋になり夜は皆の語りの場となります

水場も作り自然農畑から収穫した野菜を洗い薪ストーブやロケットストーブを使って調理します
小屋の大まかな設計案です。
これからまた、使い方や居心地などを考慮し煮詰めてゆきます
間も無く、お馴染み川上工務店によって建て始めます

そして自然農畑の今は、、、



秋の植え付けをしてから2か月近くたった自然農畑

無施肥にもかかわらず葉の威勢の良さに驚かされます。
茎も葉もしっかりしているため台風にも負けませんでした

雑草マルチもすっかり畝に馴染み、しっかり土壌の保湿、表土保護の役をなしています
日々大きくなるため、間引きを兼ねた収穫をしても十分な量です
この畑から野菜をとりご飯を作ります、肥料に頼らず、大地の力(地中の小さな生き物も)のみでできた野菜たち

命が命を育み、その命がまた他の命をつなぐ

自分が大きな自然の環の中の一部であることを心から感じる土地となりつつあります

















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2014年9月21日 日曜日

自然農・落花生収穫

今まで気が付かなかった視点に気が付いたとき、一気に道は開ける気がします

親方は山梨から帰ってきてから、目をギラギラさせながら気脈と水脈について熱く語ります
大地が呼吸していること、水脈の重要性、昨今起きている土砂崩れの原因、、、庭の世界をゆうに超えている話だけれどすべてはつながっているようです



今年から始めた高田農場も山梨の自然農畑を見本に水路を畑の周りに走らせ、畝の間に縦穴を掘り、表土は雑草で覆うなどの改良をし冬の作付けを始めました
縦穴は土中の呼吸穴となり固く貧弱な土壌に十分な酸素をあたえ、虫たちの住みかにもなります
虫がたくさんいることはきっとその土地が元気な証拠、たくさんの生き物が生きられるかけがえのない環境なのです



グランドカバーの雑草は豪雨から表土の流出を防ぎます
近年、異常気象で雨の降り方は激しく変わってきました、植え付けした種が流れないように、また強い日差しから土の乾燥を防ぐ役割があります。(水は加速度が付くと悪さをすると親方は言います)

ある本に雑草は地球のカサブタであると書いてありました
日本なら土をむき出しにしておくと瞬く間に雑草が繁茂します。どうして雑草が生えるのか、貧弱で固い土壌に木を植えても、作物の種をまいても健全には育たないでしょう。ところが雑草は何もせずとも生えて生活することができます(不思議...)
雑草はぐんと土に根をさしその根から、アミノ酸や糖質、ビタミンなどたくさんの物質を出します
このたくさんの物質に土壌中の微生物たちが集まりその死骸が土壌の有機物となるのです。雑草の根も枯死すると有機物となり、土中の気脈、水脈にもなります
また微生物を目当てにみみずなどの小さな生き物があつまり増えていきます。土壌はますます生き物で賑やかになり、豊かになります。
と考えると、不毛な土を良くするために雑草は生えているのかもしれません
雑草が生えるから除草剤をまくのではなく、どうして雑草が生えるのかを考えると雑草の見方が変わってきます
雑草は人が手を付け弱くなってしまった地力を回復するために、地球がつくるカサブタなのかもしれません

親方が山梨で出会った気脈。水脈の考え方も大地が呼吸し、生きているということを教えてくれました
あちこちで起きている土砂崩れの原因もこの考えでの土木工事、土地開発であれば防げたかもしれません
(この考えは「未来につながる希望だ」と思います)
自然農の畑は雑草と共存させながら作物を育てます、雑草の力で土を改善し、極端な気候の変動にも強い畑に変わりつつあります



今回は落花生の収穫
茂った雑草の中でも落花生はできるのか...



(収穫はみんな嬉しいです、ついついはしゃいでしまいます)




初めての落花生、大収穫となりました



しっかりとしたツルの先に大きな落花生がぎっしり(母親と胎児とをつなぐへその緒のようなつる)
不思議な発見です




根っこにはたくさんの根粒菌が見られます

収穫後の落花生の畝はふかふかの土になっていました
植物の力で土は確実に良くなってきています

近々の話ですがこの高田農場に山小屋が建つ予定です
10坪ほどの小さな小屋で、自分たちで火をおこし、食事、お風呂焚き、薪を使った暖房、最低限のエネルギーで自然の中での生活体験ができます.(一般の方にも利用できる小屋にする予定です)
小屋の材料は古民家を解体して出た材木の再利用で作ります

現在、親方監督のもと設計中です(山小屋、笠森観音などのかけ造を見たり、素人でも作れそうな田舎暮らしの本を読んだり、あれやこれやと頭を悩ませています)
この小屋では自然生活体験だけでなく、自然の事、食の事、住環境の事、世代関係なく集まり、語りの場となればと考えています
自然の中、大地の呼吸に耳をすませるそんなひと時を刻めればと思います





















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2014年8月14日 木曜日

休日登山  雲取山

久々に連休をいただき、今回は東京都の最高峰雲取山に登ります


標高2017m、奥秩父の山々で最東端に位置し、東京都、山梨、埼玉の県境にあります。
人里離れた奥多摩の静かな夜明けとともに、雲取山鴨沢コースを登り始めます


多摩地域では森林の約6割が人工林であり雲取山も標高1500m付近まで、密な杉林が続きます
杉林のほの暗さの中、程よい上り坂を歩きます







登り始めの山道(林道)、くまに注意の看板でビクビク歌を歌います



林道といえども野生の生き物の気配を所々で感じます。
本来であれば動物たちの棲み処、昔は人の立ち入ることのできない豊かさと厳しさの混じる深い森だったのかもしれません。(登山道わきにある石で造られた小さな社に手を合わせます)
人の営みが山を変えてしまったのだなあといろいろ考えます、、、

それにしても平らなところが少ない、2時間近くのぼりが続きます。
ようやく休めるところにたどり着きちょっと一休み
周りを見ると4m近くに伸びたアセビの群落が広がっています。現場では低木として使いますが、森の環境で周囲の木々と競争しているように伸びています。



1500m付近ブナの大木の中、イヌシデ、ハウチワカエデなどの落葉樹の森に変わりました
明るい緑色に緊張感が和らぎます



ここからブナ坂に入ります
まだまだ中間地点、、、







マルバダケブキの群生  7、8月に黄色い花を咲かせます
もう少しかな



周囲2000m級の山並みを一望します。
遠くには富士山、登り始めて3時間足の疲労感を山々が吹き飛ばしてくれます。
まだまだ道は続いてますが、、、




ぼろぼろになった足を手で持ち上げ最後の坂を上ると頂上、奥秩父の山々が見えていきます
果てしなく果てしなく続いています。(まだまだ先がある、、、)

山登りは6年前から始めました、歩くたびに山道を歩く大変さを感じます
初めて上った山は無謀にも北穂高でした
目の前に頂上が見えているのに、歩いても歩いてもたどり着けない
登ったかと思ったら、また下り、下ったらそれ以上に上らなくてはならず、泣きたくなったことは忘れません
でも石に張り付いた苔や斜面にしがみつく木々、厳しい環境の中イキイキと生きる植物から訳も分からずに
元気をもらいました
何より、都会(日常)では見られない圧倒的な自然が体の疲れをふきとばしてくれました
涸沢で見たまぶしいほどの星空、ため息が出るほどきれいだった天の川、流れ星もあきるほど数えました
夜の明るさを感じた貴重な体験です
以来つらいとわかっていても、つらい以上の楽しみを知ってしまい、のぼり続けています

日々の事も、登山に重ね一歩一歩と歩きます
「青雲万里の心」6年前も今も変わらない気持ちです







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2014年6月18日 水曜日

手入れ行脚

少し早めの梅雨入りの中、今年も手入れの時期となりました
(お待ちいただいています皆様申し訳ありません...)

この時期は、施工中お世話になりましたお施主様、子供たち、庭の木々にに会える楽しみな日々でもあります
みなさん元気かなぁ、大きくなっているかなぁ...などと施工中の出来事も思い出しつつ、東西南北、木のあるところ高田造園のトラックは走ります


手入れはただ木が茂ったから剪定するのではなく、成長してゆく木々、庭を見ながら、その年その年で目的も手の入れ方も変えてゆくのが常です
「剪定が目的」ではなく、『木々が健全に生育できるように、住まわれる方が心地良く生活できるように環境を整えていくこと』こそが目的で、問題がなければ何もせずに点検だけで終わることもよくあります

(キョトンとされるお施主様もいますが、木々と会話しながら手を入れていくので、「幹が乾燥しちゃうからまだ切らないで」「今年はまだいいよね」(木との会話)、なんてこともよくあるんですね)

植栽後1年目の手入れは、落葉高木の葉っぱは小さく、環境の変化による枯れ木、枯れ枝も出てきます
木陰もまだまだ小さいので、日の当たる部分には日なたの雑草が生えてきます
上空に高木の枝葉が伸び、林床に木陰が広がり、環境が整うまでの、この1年目、2年目は樹木にとっても、住まわれる方にとっても踏ん張りどころなのです


3年目にもなると、主木であるコナラ、ヤマモミジ、ヤマボウシ...など落葉高木が根を張り、枝葉がしっかりと上空を覆います
林床には木陰が広がり、ひんやりと清涼で気持ちの良い空気、風がそよそよ流れます
中低木・下草、生き物にとっても心地良く健康で元気になれる環境となります



(柏市のお庭です。施工後3年目に入り木陰が広がります
風がスーと抜け、とても心地良いです。
お客様とのお話も弾み、ついつい時間を忘れてしまいます)


ここまでになると、手入れの仕方も1段階変わってきます
広がった木陰のおかげで、除草がとても楽になりますが、風通し、林床に入る光のコントロールのため高木の枝葉を幹元から大きく抜いていくのです
茂った高木の枝葉を抜くことで、庭に風と光が適度に入り、病害虫の大発生を防ぎ、日光を必要とする樹木も健全に生育できる環境を作ることが出来るのです

また、この時期あたりからそれぞれの木々の空間の奪い合いが始まります
人の生活空間にまで伸びる枝も手入れの時に整理して、人と木とが健康に住み分けられる空間を作ります
このため、「わぁ!住宅の中に森が!」と外から見たら思われるかもしれませんが、中に入るとそこには木漏れ日あふれる涼やかな広々とした空間が広がるのです




施工後8年のお庭です、外から見ると住宅地の小さな森...
中に入ると冷やりと気持ち良い空気(手入れ後の写真です)
木に包まれながら、空間を維持すること、もちろん建物に当たる枝や越境した枝葉切りますが、緑で潤いある雰囲気は維持されます。
私たちの手入れだけでなく、住まわれるお施主様の木々への愛情が深いからこそ、年月が経っても問題なく、木も人も健康になる環境になったのだなと感じます。


造園を初めて今年7年目に入りましたが、日々、木が教えてくれることは今も、これからもたくさんあることでしょう
木を通じてお会いできました皆様との、温かな繋がりを改めて感じる手入れ行脚です






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