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2015年7月17日 金曜日

明日に繋ぐ子供たちの笑顔

目の前のものと向き合うこと、ありのままの自分で楽しむこと、こうしたら良いとか悪いとか...
周りの大人に言われたから、誰かがそうしてたからではなく子どもたちの内側から湧き上がる気持ち
その純粋さにはっと気づかされる...


茂原市にある明日の国シュタイナー学校の子供たち
学校の裏山がどんな状態かは分からない、けれども日々自然とかかわる中でここに水路を流そう
小さな子供たちの小さな試みは自然とその地の風土改善への道に繋がっていたようです
純粋な心を持つ子供たちだからこそ自然が発した無言のメッセージを受け取ることが出来たのかもしれません...


谷筋に水みちをなぞります



山と谷地形成り立ちを見つめます



溜まっていた山の絞り水が一気に流れる


大人も子供もびっくり
大地の呼吸を感じる瞬間
たくさんの水を吐き出し、ようやく裏山も呼吸ができるようになりました...



そして前回に続き、家作りの授業始まりです


食い入るように説明を聞く子供たち
今回は皆で作った日干し煉瓦を積み骨格を作っていきます



子供たちが崖をつるはしで掘り、その土で作った日干し煉瓦


イニシャルが書いてあったり、手形がついてたり...


接着、下地に使う泥を作ります
藁をきざんで...





藁と土と水この地にある材料を混ぜ合わせます
目で見て、手で練り、水を感じ、大地との繋がりを肌で感じます

熱いのも、泥だらけになるのもお構いなし、とにかく一生懸命


男の子も


女の子も


少しずつ立ち上がってゆく




積み始めからあっという間に形が見えてきました


隙間を塗って


出来上がり!

作業を通じ子供たちの好奇心、行動力には終始驚かされました
何よりキラキラと目を輝かせる子供たち、一緒にいる私たち自身が何かを教わったようで
胸がいっぱいです

人を育てていくことって難しい、何が正しいとか何が悪いとか大人の私たちでさえも時にわからなくなってしまうから...
今、目の前にある真実 空気の流れ、水の温度、草木の呼吸、動物の気配...もしかしたら自然と向き合うことで私たちは
心を育み、他者と繋がり、成長できるのかもしれない

希望が持てなくて足が萎えてしまいそうな時代だけれど、この子たちの笑顔がずっと続くよう守りたい

いつか彼らが大人になった時、思い出してくれたら嬉しい、この時の気持ち...
そしてまた自分の子供たちへと思いを繋げてくれたらと

どうか明日に希望が届きますように...






















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2015年7月 3日 金曜日

梅雨の合間に

高田造園スタッフブログをご覧いただいている皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
今週はまさに梅雨!と言わんばかりの天気ですね。今週初めに週間天気予報をチェックした関東の方、特に外仕事を生業とする方はあまりの雨マークの多さに驚かれたのではないでしょうか。。
高田造園はそんな天気と戯れております。ご無沙汰しております石井です。

前回の更新から随分日にちが空いてしまいました。
新芽が固まり始めたこの時期、高田造園は手入れに造園工事にと各地を行脚しております。
その際の様子や竣工、進行中の庭については高田親方のブログ等を参照していただければと思いますので、今回は、僕が先日の休みの日に拝見したお庭の事を更新させて頂きたいと思います。


田畑や豊かな緑に囲まれた千葉県若葉区の高根町。そこに、一つの整形外科があります。

この病院を創業した理事長の方は、「体の不自由な患者の方が広い庭を自由に散歩しながら、花を楽しみ、緑の風に吹かれて心安らげる、そんな病院を作りたい」と当初から考えられていたそうです。そして、庭の一角に四阿のある日本的な庭園を作りたい、と高田親方に依頼されました。親方は、体が不自由な患者の方でも楽しめるよう、車椅子でも回遊しお茶を楽しむことのできる配慮がなされた庭園と四阿を作りました。完成は、現在から約10年ほど前だそうです。



庭園の入り口、全景です。柔らかい樹形の雑木たちに癒されます。車椅子でも園路を不自由なく回遊できるように配された、目地の狭い石畳が美しいです。。




四阿全景。設計管理は伊藤平左衛門建築事務所の中山さん、施工は高田造園ブログでもおなじみ川上棟梁です。



四阿に接続する、もう一つの園路。車椅子の方に配慮した目地や勾配が、とても優しげです。
三和土にもとてもいい苔がのっています。






四阿の内部。炉と水屋が配してあり、車いすの方でもお茶会が楽しみやすく配慮がされた設計がなされています。



車椅子の方でも利用できる高さの蹲踞。力強い石組と役石に囲まれた手水鉢は二重升型で、桂離宮の外腰掛のものを彷彿とさせます。




四阿に接続するメインの園路。とても丁寧な、配慮の伝わる優しげな石畳です。




数石配された石臼がリズミカルな足元の景色。




奥へと向かう園路。足元を気遣って照らすような灯篭も、また穏やかな表情で据わっています。




園路途中の敷石と三和土。




空積で行われたという石積と板塀。シンプルながらも、塀の笠と大ぶりの石積がなんとも言えない安堵感を与えてくれるようです。。






蹲踞周りと同様力強い石組と、地表の苔と実生のモミジたち。ほんの少しの雑草たちと落ち葉も調和して、グラウンドカバーのように地表を覆う見事なモミジと、穏やかな地表を形成しています。実生木を大切にしている掃除が、このような素晴らしい地表を育成するのだと感激しました。石組は、体の不自由な方に精気を奮い立たせるような、生命力に満ち溢れた気勢をもって据えられている様に感じます。




このお庭を私が知ったのは、高校三年生の春頃でした。当時私は造園系の高校に通っており、その卒業制作として、実際に施工し文化祭にて展示、開放する庭園の図面のアイディアを考えていました。その頃祖父が車椅子生活を余儀なくされていたことから、私は祖父にも見に来ていただける、車椅子に配慮された優しい日本庭園を、とコンセプトを絞り資料を図書室で収集していたところ、「木もれ日を楽しむ 雑木の庭」(主婦の友社、2008年出版)という本の特集に掲載されていたこのお庭を知るに至ったのです。同時に、私が現在勤務している、高田造園設計事務所という会社、親方を知ったのもここからでした。

現在もですが、当時私は現在より庭の「に」の字も雑木の「ぞ」の字も知りませんでした。その上、車椅子に配慮した日本庭園を、と考えていた私にとって、このお庭はあまりに衝撃的だったのを覚えています。すぐさま書籍を購入し、2ページの特集に掲載された6枚の写真と文章を食い入るように見ながら製図を行っていました。(結果勿論、このようなお庭を作図、施工できたわけではありませんでしたが。。)
そして高校、大学を卒業し、現在はその書籍で見た会社に勤務しています。こうして改めて振り返りながら言葉にしてみると、何か、不思議な感覚です。

仕事の合間に、自分の原点ともいえるようなお庭を拝見できたことは、とても嬉しく、感慨深い気持ちになりました。
入社してからあっという間に三か月が過ぎてしまいましたが、初心を忘れず、かといって未だ見習だと甘えず、日々、精進していきたいと思います。

天候の変化が大きいこの季節ですが、露に濡れたお庭を眺める事ができると考えればいい季節でもあります。
皆さまも体調にお気をつけてお過ごしください。

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