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2018年10月24日 水曜日

冬に向けた薪準備と大工見習い。

高田造園スタッフブログをいつもご覧くださいます皆様、
ご無沙汰しておりますスタッフの松下です。

最近高田造園では親方のブログでも掲載されておりました通り、
工事も今まで掛からせていただいておりました現場もひと段落し、
早くも次の工事の準備に取り掛かっております。

工事や手入れの合間を縫って、雨など天候の優れない日には
事務所では冬支度もしております。

千葉では昼はまだ25度を超える日もありますが朝晩はひんやりとしており、
通勤にはジャンパー、朝早くの身支度にはヤッケは欠かせなくなりました。



こちらは千葉某所から大量に運んできた薪を事務所横の薪棚へと
運び込んでいる様子です。

軽トラを一台満載にし、軽トラをヒーヒー言わせながら運んで参りました。



この薪は佐倉市にあります岩富ダーチャいのちの杜で、
今年の春、私たちがこちらもまた仕事の合間で割った薪です。

直径3、40センチはあろう広葉樹の幹丸太をみなで斧で割りました。


事務所にありますストーブはダルマストーブで、



本来は薪ストーブではなく石炭ストーブなので、
燃焼力が高く薪が早くなくなってしまいますが、
部屋全体に幅広く熱が広がるので、
事務所の冬には欠かせない存在です。



事務所に積み込み終わった後は、
土気ダーチャフィールドにも運び込みます。

いつも薪を使って火を起こしていると、
薪棚が薪で埋まると何とも言えない安心感があります。

今年も薪ストーブが恋しくなる季節がもうそこまで来ています。


さて、こちらは春からスタッフの石井、松下の同僚コンビで
参加させていただいている大工塾の様子です。



仕事で木工をするので、それを大工仕事を通して身につけたいと志願し
毎月1回のペースで行かせていただいています。

第1回目には製材所へも連れて行ってもらい、
丸太を製材する様子も見せてもらいました。

普段何気なく柱材や板材を扱っていましたが、
実際に見せていただくとより身近に感じることができます。



これは曲尺(さしがね)と呼ばれる必須の大工道具で、
この丸太から最大で何寸角の角材が取れるのか教わっています。

曲尺の表と裏側を使うと計算なしで割り出せます。

今まで曲尺は矩(かね)を出して墨を打つ(線に対して直角に線を引く)
ためにしか用いたことありませんでしたが、
大工さんはこの曲尺を巧みに使いこなし、
素人では思いつかないような部分の寸法を容易く割り出します。



これは第2回で体験的に作らせてもらった木材と木材の継手です。

日本建築の伝統工法では角材と角材は、継手で組んで作られます。



最初に寸法通りに墨を打ち、その墨通りにノコとノミで削っていきます。

これは家の基礎の上に回る土台の角材と角材を継ぐ、
「鎌蟻継ぎ」と呼ばれる継手です。



見た目通り複雑なので、簡単に浮いて離れることはありません。



第3回では現場に行くと既に棟上げが終わっていました。

やはり最初から実際に見たかったので残念でした。

ですが、自分たちが加工した継手は大工さんたちの手によって、
きっちりと基礎の上に納まっていました。



さすがに現場では大工さんが主導で、私たちはその手元といった感じです。

小さい頃に自分の家が木造で建てられたときに、
正に基礎の上に柱組だけしてある現場に行ったことがありましたが、
その時はここまでまじまじと観察もしなかったので、
家が徐々にできていく様を見るというのは勉強になりますし、楽しいです。



これは柱と柱のあいだに貫(ぬき)と呼ばれる板をはめ込んでいる様子です。

伝統工法の日本家屋が地震に強く100年、200年と持つのは
柱と柱の上に渡された梁(はり)、桁(けた)、胴差しと呼ばれる骨格材と、
この貫で箱状に一体化させることで
全体で持たせる構造になっているからです。

建築基準法の改正で現在の住宅は筋交い(斜めに入れる補強のつっぱり)と、
固定金物を使用しないといけなくなっていますが、
昔の建築物には用いられていませんし、用いられていない住宅で
100年、200年と持っているものも今となっては少ないですが、あります。

昔の家というのは、石の上に柱が建っているので
地震で揺れても建物だけが滑るように揺れを吸収し、
また筋交いがないので、全体の木が連動して動き、
グラグラ揺れるけど、力を逃がせる構造になっているのです。

古くから「柔よく剛を制す」とはよく言ったもので、
言葉の使いどころは違えど、
日本人の精神が垣間見られる工法と言えます。

実際に補強で用いられる斜めの筋交いは
元々は西洋建築から来ていて、
明治以降に入ってきたものだそうです。

自然を力で押さえ込もうとする西洋と、
自然の力に畏敬の念を持ち、その中で生きようとする日本人の姿勢が
工法としても対照的です。



組みあがっていくと柱と柱が、梁と桁と貫で
つながっているのが分かります。

このあとは鉛直方向を「下げ振り」という道具で確かめ、
「屋直し」を行います。



屋直しとは、そのままでは垂直に建ってない柱組を、
引っ張り起こして、きっちりと垂直に建てる作業のことです。



これを外周4面すべてで確認し、調整しました。

そして、屋直しを終えると在来工法のため筋交いを設置し、
梁の上に「小屋束(こやづか)」を立て、中心に「棟木(むなぎ)」を渡し、
そこから下に「母屋(もや)」を取り付け、「垂木(たるき)」をその上に架けて、
屋根を付ける前の骨組みが完成しました。



普段植木屋ですので、高いところは慣れたつもりでいましたが、
木の上とはまた違った、掴まるところのない高所で、
スイスイと動かれる大工さんの手際の良い作業に
ただただ見とれながら作業の様子を観察していました。



普段建設真っ只中の現場には踏み入れたことがなかったので
今回の経験は建築をよりリアルに感じる上で良い体験となりました。

次回以降の作業は、また次に書き記します。


最近は昼間はまだ温かいですが、朝晩は急に冷えてきますので
皆様体調を崩さぬよう気をつけてお過ごしくださいませ。


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